平日の朝は決まった時刻に起きるけれど、休日は遅寝遅起き……。このような就寝・起床リズムのズレにより、日中の眠気や疲労感など、日付変更線をまたいで生じる「時差ボケ」と同じような症状が起こると言われている。
こうした「睡眠時差ボケ」が続くと、メンタルヘルスの不調や肥満・糖尿病などの生活習慣病のリスクにつながるため、就寝・起床時間のズレ(以下「睡眠時差」)は1時間以内に収めることが理想だという。
そこでエステーは睡眠習慣や就寝・起床リズムの実態を明らかにするため、20~49歳までの男女対象とした「睡眠習慣やリズム」に関する実態調査を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
平日(勤務日)と休日の「睡眠時差」は20代女性が最大、平均1.7時間のズレ
平日(勤務日)と休日の就寝時間および起床時間を聞き「睡眠時差」を算出したところ(※1)、全体平均は1.2時間(72分)であるのに対し、20代女性が最もズレが大きく、平均1.7時間(102分)の「睡眠時差」があることがわかった。
「睡眠時差」は1時間以内に収めることが理想とされているが、1時間を超えている人は全体の約半数(45.1%)に上り、多くの人が時差ボケのような症状を感じている可能性があると考えられる。
また、在宅勤務と出社勤務の両方がある「ハイブリッド勤務」の人は、同じ平日(勤務日)でも「在宅時」と「出社時」で就寝・起床リズムが異なる傾向にあり、「在宅時」の方が就寝時刻は平均0.4時間(24分)遅く、起床時刻は平均0.8時間(48分)遅くなった。
その結果、平均0.6時間(36分)の「睡眠時差」が発生していることが判明(※2)。
在宅時は前日の就寝時間が遅くなり、当日の起床時間も遅くなる傾向が見受けられ、要因として、在宅勤務の場合朝の通勤時間が短縮されるなどが影響していると推察できる。
<睡眠時差の算出方法>
※1…平日(勤務日)と休日の睡眠中央時刻(就寝時間と起床時間の中央の時刻)の差
※2…平日(出社時)と平日(在宅時)の睡眠中央時刻(就寝時間と起床時間の中央の時刻)の差
■6割近くが休日より平日(勤務日)の方が睡眠時間が短い。 約5人に1人が休日に「寝だめ」
平日(勤務日)と休日それぞれの睡眠時間は、平日(勤務日)の方が睡眠時間が短い人が約6割(57.8%)で、平日の睡眠時間の方が平均0.6時間(36分)短い結果になった。
平日と比べて、休日の睡眠時間が2時間以上長い人は、全体の約5人に1人(20.4%)という結果になり、平日の睡眠不足を補うために休日に「寝だめ」をしているようだ。
■睡眠に関してやめられない習慣1位は就寝前の「だらだらスマホ」
睡眠に関してやめたくてもやめられない習慣について聞いたところ、1位が「就寝直前に布団の中でスマートフォンを見てしまう」ことで、半数以上(52.3%)がやめられないと回答。就寝前にスマートフォンを見る人の平均使用時間は「49分」に上った。
就寝前の「だらだらスマホ」に続いて、「休日や在宅勤務の前日は夜更かしをしてしまう」(29.5%)、「休日に寝だめをしてしまう」(26.6%)も約3割となっていて、「睡眠時差ボケ」の要因となる良くない習慣が定着してしまっている人が一定数いることがわかった。
「休み明けの仕事の日」に不調や症状を感じる人は約7割
日中の眠気、寝つきの悪さ、集中力の低下などの不調や症状を「休み明けの仕事の日」に強く感じる人は、「睡眠時差ボケ」の影響を受けている可能性が高い。
実際に「休み明けの仕事の日」に強く感じる症状について聞いたところ、約7割(69.5%)が何らかの不調や症状を感じており(※)、特に多かったものとして、「日中に眠くなる」人が約4割(41.2%)、続いて「疲労・倦怠感を感じる」人が約3割(29.5%)となった。
(※)「特に当てはまるものはない」以外を選んだ割合
また、「質の高い睡眠を取れているか」と聞いたところ、6割以上(66.1%)が「あまりとれていない」「全くとれていない」と回答。
一方で、質の高い睡眠のために対策をしていると答えた人は3割以下(26.1%)に留まった。
対策をしない理由として、「対策方法がわからないから」が約4割(38.1%)に達しており、悪習慣の改善や快眠アイテムによるサポート含め、心地よい睡眠を支えるための対策の認知・浸透が急務となっている。
調査概要
調査内容/「睡眠習慣やリズム」に関する実態調査
調査期間/2023年10月16日~10月18日
調査対象/20~49歳までの働いている男女417人
調査方法/インターネット調査(自社調査)
構成/清水眞希