■連載/阿部純子のトレンド探検隊
ふたりで一緒に押さないと中身が出ないシャンプーボトル
花王は、お風呂時間を通じて親子のコミュニケーション創出を目的としたシャンプーボトル「にこニコボトル」(非売品)を開発した。
「にこニコボトル」は、「メリット」「メリットキッズ」のシャンプー・コンデショナーをセットし、ふたりで一緒に押さないと中身が出てこない仕組みになっている。お風呂時間を親子コミュニケーションの場として広げていきたいという想いから生まれた企画だ。
「共働き世帯が増えて、親子の会話や、子どもと一緒に過ごす時間が減ってきているご家庭も多いと思います。親子で一緒に入るお風呂場でのコミュニケーションを活性化できないかと考え、『にこニコボトル』を開発しました。
お風呂場は親子のスキンシップがはかれる場ですが、湯船に入る機会が少なく、家庭のお風呂ではなかなか一緒に入れない方も多いと聞きます。そこで、銭湯で『にこニコボトル』を活用していただくイベントを企画しました」(花王 作成センター コミュニケーション作成部 コミュニケーション作成部長 簑部敏彦氏)
親子のお風呂に、もっとニコニコを!をコンセプトにした「#にこニコボトルプロジェクト」の第一弾として、杉並区の「小杉湯」にて「にこニコボトル」が体験できるイベント「にこニコボトル in 小杉湯」が開催された。
小杉湯は東京・高円寺にある昭和8年創業の銭湯。名物ミルク風呂、週替り・日替り風呂、水風呂があり、温冷交互浴は小杉湯の代名詞になっている。
11月23日に開催された「にこニコボトル in 小杉湯」では、1時間ずつ計4回開催されたが、すべて満席になる盛況ぶりだった。
「男湯、女湯それぞれにスタッフが待機しているので、0歳の赤ちゃんから小学生のお子さんまで、お子さんの相手やサポートもいたします。家族でのんびり大きなお風呂に入ることで、みなさんがニコニコ笑顔で帰ってもらえたらうれしいですね」(小杉湯 三代目当主 平松佑介氏)
【AJの読み】自宅のお風呂でも「親子デー」を実施したい家庭に向け市販化に期待
「にこニコボトル」は中身が出る口が斜めについており、一人で押しても出にくい形状で、ふたりで「せえのっ!」と息を合わせて押すことでシャンプーやコンデショナーが出てくる。
本商品はイベントで使われる非売品で、一般販売の予定は今のところないそうだが、今回のイベントでも参加者へのアンケートが行われており、反響が大きければ今後も銭湯での体験イベントを継続していきたいという。
日本人のお風呂好きは世界でも突出しており、毎日湯船につかっている人は、アメリカ人は10人に1人だが、日本人は冬場は2人に1人、夏場でも3人に1人。しかし昨今、共働き世帯の増加で、入浴時間が減少しており、シャワーだけで済ませる人の割合も増えている。
親子で大きな湯船に入れる銭湯は、スキンシップにはもってこいの場所で、今回のイベントも「にこニコボトル」の楽しさを体験できる絶好の機会となった。
しかし、街の銭湯は大幅に減少しており、近くに銭湯がないという場合もある。家庭用のお風呂でも週に1回「親子デー」を作り、親子一緒にお風呂に入りたいという家族に向けて、「にこニコボトル」の市販化に期待したいところだ。
文/阿部純子