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酒税改正後のビールの売上金額は1.8%増、新ジャンルは59.6%減に

2023.11.28

あらゆるものの値上げにより消費低迷が叫ばれる状況の中、酒税法の改正によって、ビールカテゴリ内では値下げになるビールと値上げになる新ジャンルの売り上げ動向が注目を集めている。

そこでカタリナ マーケティング ジャパンが運営するカタリナ消費者総研から、酒税改正1か月後のビールカテゴリの状況をまとめたリポートが発表されたので、その概要をお伝えする。

なお、このリポートはカタリナが扱う年間売上10兆円規模の実購買データをもとに作成されている。これは日本のGMS・SMの年間売上の実に6割をカバーする規模であり、当レポート内の各種数値は推計を含んでいない。

ビール市場〜減税の恩恵は売り上げに反映されない?

ビールカテゴリは今年2023年10月の酒税改正による減税の前、昨年2022年10月に14年ぶりの卸売り価格の値上げが実施された。

以下は、その時と今回の酒税改正の際のカタリナネットワーク内における平均購入単価の変化の表になる。

・国産ビールカテゴリ 平均購入単価(350ml単缶価格)

2022年は約7円の値上げ、2023年の酒税の減税では約11円の値下げとなっているビールカテゴリ。売り上げはどのように変化したのか。売り上げの推移を確認してみた。

・国産ビールカテゴリ 週別売上金額(単位:百万円)

これは2022年と2023年の国産ビールカテゴリの週別の売上金額の推移を比較したグラフだ。両年ともに、グラフ冒頭部分の8月は猛暑の影響やお盆などの帰省に加え、各地での夏祭りや花火大会の再開でビールの需要は高まっていた。

まずは2022年(オレンジの折れ線)を見ると、2022年10月の値上げ直前、9月には買い溜めが発生して売上金額が増加。その反動で10月に買い控えが発生して売上金額は減少している。

そして2023年の売上の変化(青の折れ線)だが、10月(グラフ中の赤い点線部分)より、ビールは350mlあたり約6.7円の減税が実施され、平均購入単価は約11円下がった。

しかし消費者の反応は思いのほか冷静で、減税前の週と減税後の週とで売上金額を比較しても、1.8%ほどの上昇しか見られない。

・この程度の価格差縮小ではビール類の勢力図が塗り替わるようなことはない

2022年の値上げ時には買い溜め需要が発生したのに対し、今回の減税(値下げ)時にはこれといった需要の盛り上がりを見出すことはできなかった。

ビールは値下げされ、新ジャンルは値上げされたことから、ビールと新ジャンルの価格差が縮まり、新ジャンルの選好ユーザーがいくらかビールへのカテゴリスイッチを起こす可能性が考えられたが、今回の売上推移からはその傾向は見出せなかった。

この程度の価格差縮小においては、ビール類の勢力図が塗り替わるようなことは起こっていないといえるだろう。

経済低迷下での家計圧迫が、値下げに対する好反応を鈍らせている可能性も考えられる。昨年の値上げ時の買い溜めや買い控えとは異なり、今年は売上の大きな変動は見られなかったからだ。

不安定な経済情勢が消費者の購買行動に慎重さをもたらしているのかもしれない。

新ジャンル〜増税がカテゴリの低迷に追い打ちをかけるかたちに

ビールカテゴリと同様、新ジャンルカテゴリも昨年2022年10月に卸売り価格の値上げがあり、今年2023年10月の酒税改正があった。下記の表が示すように、ビールとは違いどちらも値上げだ。

・新ジャンルカテゴリ 平均購入単価(350ml単缶価格)

2022年は約7円の値上げ、2023年の酒税の増税では約13円の値上げとなっている。

続いて売上の変化を見てみよう。

・新ジャンルカテゴリ 週別売上金額(単位:百万円)

2022年と2023年それぞれの、新ジャンルカテゴリの週別の売上金額の推移を示したグラフだ。

注目すべきは、赤の点線で示している増税の行われた10月1日付近の動き。平均購入単価の上昇は2022年(7円の上昇)よりも2023年(13円の上昇)の方が大きいにも関わらず、9月の買い溜めは昨年の方が大きく、その反動の買い控えは今年の方が強くなっていルことがわかる。

昨年に続く価格上昇が、消費者の購入意欲を下げてしまっている状況だ。また、2023年は買い控え後の需要の戻りが鈍く、売り上げが低いまま推移している。

不安定な経済情勢下では、消費者はより価格に敏感になり、特に価格が上昇する商品に対しては消費を控える傾向が強まる。

・購入本数と購入人数の減少

新ジャンルで起こっていることをより詳しく見るために、1000会計あたりの購入本数とバスケット数(会計数)の変化をチェックした。バスケット数(会計数)はのべの購入人数と置き換えることができる。

左軸:1000会計あたりの購入本数(本) 右軸:バスケット数(会計数 単位:千)

新ジャンルの購入本数は7月末から9月初め週にかけてフラットな推移だったが、9月25週には前週の160本から230本に一気に増加している。

また、バスケット数(≒購入人数)は、9月25週には若干上昇しているが、ほぼフラットで推移した。

バスケット数が伸びていないということは、新ジャンルカテゴリを購入している人数に変化がないことを示している。

その状況下で購入本数が伸びているということは、もともと新ジャンルカテゴリ購入者の一回の買い物で購入している商品の本数が増えていることを意味する。

このことから、特定の人(新ジャンルが好きな人)が9月25日週の買い溜めを起こしたことがわかる。

そして、10月に入り、購入本数は9月と比較して約5割減、バスケット数(≒購入人数)は約3割減と本数だけでなく、購入人数も減少している。

新ジャンルがどこまで戻すか、年末年始に注視

あらゆるものの価格が上がっているなか、おサイフの大きさが変化していない現在の状況では、消費者はいままでよりも厳しく購入品目の優先順位をつけて買い物をしなければならない。

それはビール市場も例外ではない。ビールカテゴリは減税により平均購入単価は下がっているが、それにより消費を底上げるまでのパワーは見られなかった。

また、新ジャンルは、より価格コンシャスな消費者が好むカテゴリでもあるため、昨年に続いての今回の値上げは、購入本数、購入人数ともに減少という結果となっている可能性がある。

今回の結果は酒税改正後の1か月での結果だ。今後、需要期である年末年始にどんな変化が起こるのかを確認することが重要だろう。

特に新ジャンルカテゴリは、このまま低位で推移するのか、元の水準まで戻すのかが注視ポイントとなる。

調査概要
データ抽出期間/2022/08/01~2023/10/22
対象店舗/上記64週間全てにわたってアルコールの取り扱いあるカタリナネットワークの約4200店舗
対象ユーザー/上記店舗で買い物をした人

関連情報
https://jp.catalina.com/knowledge/

構成/清水眞希

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