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チップセットも〝生成AI〟推し!最新「Snapdragon 8 Gen 3」でスマホはどう進化する?

2023.11.29

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、新発表された「Snapdragon 8 Gen 3」や、注目が集まるLLMについて会議します。

※房野氏はオンラインにて参加

最新チップセット「Snapdragon 8 Gen 3」はやっぱり生成AI推し!

房野氏:クアルコムが、毎年恒例となる「Snapdragon Summit」を開催しました。スマートフォン向けの「Snapdragon 8 Gen 3」や、PC向けの「Snapdragon X Elite」などが発表されています。石川さん、石野さんは現地へ取材に行かれましたね。

「Snapdragon 8 Gen 3」(イメージ)

「Snapdragon X Elite」(イメージ)

房野氏(※オンラインにて参加)

石野氏:Snapdragonは完全に〝生成AI推し〟でしたね。これまでクアルコムは、あえて「NPU(ニューラル・ネットワーク・プロセッシング・ユニット/Neural network Processing Unit 人間の脳神経系を模した人工知能用のプロセッサ)」という表現をしていませんでした。今回のSnapdragon 8 Gen 3では、これまでDSPと言っていたものをNPUに名前を変えて、ニューラルエンジンでバリバリ処理していることをアピールしている。完全に生成AI主軸へと舵を切ったなという印象です。

石川氏:そうだよね。だから2024年は、AI対応のスマートフォンが多数、発売されるんだろうなと。トレンドだし。最近はスマートフォンの外見が進化しない。カメラの進化も行き詰っているところなので、AIの進化には期待したいです。クアルコムは、通信関連については2024年のMWCで発表すると言っていたので、今回はAI推しですね。

石野氏:シャオミやオッポの関係者がイベントに登壇して、「これだけAIをやっていますよ」とアピールをしていた。SnapdragonにAIを処理できる機能が備わって、スマートフォンがスタンドアローンで会話ができたり、画像が生成できるようになったりはするけれど、それを使いこなせるメーカーがどれくらいいるのか、気になるところです。

 シャオミやオッポは、AIに投資していることをアピールしているけれど、これってグローバルで展開する大規模なメーカーだからできること。果たして、ソニーに同じことができるかと言われると、ちょっと微妙。AIがスマートフォンの競争軸になった今、AIへの投資が少なかったメーカーは今後、競争で打ち勝つのが厳しくなっていくのかなと思います。

基調講演に登壇した、シャオミの共同経営者、社長のルー・ウェイビン氏

石川氏:Xperiaで撮った写真をAIで修正するといっても、それはXperiaのやり方に反している気もする。以前にシャープのイベントで、オンデバイスで処理をする展示をしていたし、小さめのLLM(Large Language Models/ChatGPTをはじめとする大規模言語モデルのこと)を動かして処理をするといった技術の準備はしている。

 あと、NTTが発表した「tsuzumi」というLLMも、70億パラメーターで動く。本来であれば、ドコモがtsuzumiを使って、「しゃべってコンシェル」の強化版を作ったり、「my daiz」の進化版を作る可能性に期待したいけれど、今のドコモではやらなさそう。

NTTが独自に開発した日本語版大規模言語モデル(LLM)「tsuzumi」

石野氏:気になったのは、tsuzumiの発表会の時も、NTTは「法人向け」の一点張りで、地味なことしか発言しないんですよ。スマートフォンを売っているんだから、そこにプリインストールして、一気に広げるくらいのことをしてもいい。なんのためにドコモがあるのか、わからなくなっています。

石川氏:本来は、tsuzumiの無料版をWebなどで公開して、みんなに使ってもらえる形で広めればいいのに、そこは検討中とのこと。ユーザー視点になれていないのがもったいない。

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