認知症対策や相続対策の一手法として、「家族信託(民事信託)」が注目されています。
本記事では家族信託(民事信託)の仕組みや、認知症対策・相続対策としての活用方法などをまとめました。
1. 家族信託(民事信託)とは
「家族信託」とは、信頼できる家族などに財産の管理を任せる仕組みです。「民事信託」とも呼ばれます(本記事ではこれ以降、呼称を「家族信託」に統一します)。
家族信託は一般的に、財産を預ける人(=委託者)と預かる人(=受託者)が契約を締結することでスタートします。委託者は受託者に対して財産を「信託譲渡」し、受託者は信託契約に従ってその財産を管理します。
家族信託を通じて管理される財産から利益を受けるのは「受益者」です。受益者は委託者自身とすることもできますし、別の人を受益者にすることもできます。
たとえばAさん(=委託者)が持っている不動産を、家族信託によってBさん(=受託者)に信託譲渡するケースを考えます。受益者はCさんとします。
この場合、Bさんは信託契約に従って不動産を管理し、賃料収入などの収益をCさんに支払うことになります。
2. 家族信託のメリット・デメリット
家族信託のメリットは、財産の活用方法などについて、柔軟にルールを定めることができる点です。信託契約の条項を適切に調整すれば、非常に幅広い用途に活用できます。
また、信頼できる受託者に財産の管理を任せられる点も、家族信託のメリットといえるでしょう。
その一方で、適切な形で家族信託を利用するためには、信託契約書をきちんと作成しなければなりません。弁護士や司法書士などに依頼して作成する場合は、50万円から100万円程度の高額な費用がかかることが多いので注意が必要です。