亡くなった家族の相続人であるものの、遺産はいらないと考えている場合には、対応の選択肢として相続放棄・相続分の譲渡・財産放棄の3つが挙げられます。それぞれの特徴を踏まえて、適切な対応を選択しましょう。
本記事では遺産がいらない場合の対処法について、選択肢・違い・注意点などをまとめました。
1. 遺産がいらない場合の対処法
相続権がある遺産をいらないと考えている場合の対処法としては、以下の3つが考えられます。
(1)相続放棄をする
(2)相続分を譲渡する
(3)他の相続人に遺産はいらない旨を伝える(財産放棄)
1-1. 相続放棄をする
家庭裁判所に相続放棄の申述を行えば、初めから相続人にならなかったものとみなされるため(民法939条)、遺産を相続せずに済みます。
財産だけでなく、債務の相続も回避できる点が、相続放棄の大きな特徴です。
参考:相続の放棄の申述|裁判所
1-2. 相続分を譲渡する
相続分は、第三者に譲渡することもできます。
相続分の譲渡を受けた者(=譲受人)は、譲渡人に代わって遺産分割協議に参加します。他の相続人にとっては、見知らぬ人との間で遺産分割を行うことになる点に注意が必要です。
なお他の相続人は、相続分の譲渡が行われた時から1か月以内に限り、譲渡の価額・費用を償還してその相続分を譲り受けることができます(民法905条)。
1-3. 他の相続人に遺産はいらない旨を伝える(財産放棄)
遺産分割協議においては、相続人が合意すれば自由に遺産の分け方を決められます。特定の相続人の相続分をゼロとすることも可能です。
遺産分割協議において、他の相続人に遺産はいらない旨を伝えることは「財産放棄」と呼ばれる場合があります。