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「世界トップクラスの日本の食事に合うのはワインよりクラフトビールです」ブルックリン・ブルワリーの醸造長ギャレット・オリバー氏が語るビールの可能性

2023.11.25

アメリカ・ニューヨーク州ブルックリンの街に、1988年に生まれたブルックリン・ブルワリーは、今や世界で屈指のクラフトビールメーカーだ。創業35周年を記念して来日したヘッドブリュワーのギャレット・オリバー氏に日本のクラフトビールについて聞いた。

ブルックリン・ブルワリーのヘッドブリュワーであり、クラフトビール界ではカリスマ的存在のギャレット・オリバー氏。2023年11月20日、キリンビール主催のイベントにて

ますます広がるクラフトビールの多様性

ブルックリン・ブルワリーは日本では2017年からキリンビールと提携して事業を展開、2020年には世界で初となる旗艦店「B by the BROOKLYN BREWERY」を東京・日本橋兜町の、東京証券取引所のすぐ前にオープンしている。

日本橋兜町の「B by the BROOKLYN BREWERY」。「ブルックリンラガー」「ブルックリンソラチエース」などの定番に加え、ここでしか飲めないアメリカ直輸入ビールも(提供/ブルックリン・ブルワリー社)

場所柄、B by the BROOKLYN BREWERYはアーバンでスタイリッシュな雰囲気に包まれているが、本家ブルックリンも近年は「世界の訪れてみたい街」に選出される人気の街。ブルワリーはその観光名所のひとつに数えられている。ローカルに根ざしたビール造りを続けている点でも、ブルックリン・ブルワリーはクラフトビール界のお手本になっている。

ブルックリン・ブルワリーのフラッグシップ「ブルックリンラガー」(提供/ブルックリン・ブルワリー社)

そんなブルックリン・ブルワリーで、ギャレット・オリバー氏は1994年からヘッドブリュワーを務める。17年前の初来日以来、6~7回も訪れているという日本好きだ。

コロナ禍を挟んで5年ぶりになった今回の訪日。日本のクラフトビール市場に印象についてたずねると、まずアメリカと日本の土壌の違いについて話した。

「アメリカでも1970年代半ば、ビール会社は40社ほどしかありませんでした。しかし1970年代後半に自家醸造(ホームブリューイング)が合法化され、そこからアマチュアの醸造家がたくさん生まれました。いわばクラフトビールのつくり手です。この点、日本では自家醸造は許されていないので、つくり手の予備群がいないという違いがあります。ビール文化をていねいに説明できる人が少ないということです」

クラフトビールは2000年代に入ってから世界的に注目され、人気を博してきた。1980年代生まれのブルックリン・ブルワリーは、そのリーダー的ブルワリーのひとつだ。それから35年が経ち、世界のクラフトビールシーンも変化した。

「私たちの造るビールやスタイルが、世界でフォローされる時代もありました。しかし現代、SNSの普及によって情報はすぐに共有され、私たちと世界のブルワリーのギャップは縮まってきました。今は、特定のビールスタイルが世界で流行るというより、その国に根ざしたビールが生まれる飲まれる時代になってきました。ますます多様なビールが登場し、その流れの中で日本のクラフトビールも注目されるようになっています」

アメリカのマイクロブルワリーの数は、正確なところはわからないが1万軒近い。一方、日本でもこの数年激増し、700軒を超えている。ほぼラガー一色だった日本のビール市場は確実に変化している。日本のブリュワーたちが醸造技術をはじめ流通、品質管理などを学び、地道に蓄積してきた結果だ。

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