MediaTekは、5Gコネクティビティに関する専門的な技術を活用し、5G RedCapをサポートするモデムとチップセット・ファミリーを拡充することを発表した。
新しいソリューションであるM60モデムIPとMediaTek T300チップセットシリーズにより、ウェアラブル、軽量ARデバイス、IoTモジュール、エッジAIデバイスなど、長寿命で効率的なバッテリーを必要とする幅広いアプリケーションの5G-NRへの移行が容易になるという。
なお、MediaTek T300シリーズ搭載デバイスは、2024年前半にサンプル出荷され、2024年後半に商用サンプル出荷される予定とのことだ。
消費者、企業、産業用IoTアプリケーションの5G-NRへの移行を促進
「RedCap」は、“reduced capability”の略で、5Gの利点を消費者、企業、産業用のNR(New Radio)機器に提供できるように設計されている。スタンドアロン(SA)型ネットワークアーキテクチャに対する5Gネットワークの進化を最大限に活用するRedCapは、帯域幅要件が低いデバイスに信頼性を提供し、一般的な5Gソリューションで生じる費用や煩雑さを削減しつつ5Gの多くの利点を提供することが期待できる。
MediaTek T300シリーズは世界初のRedCap向け6nm無線周波数システムオンチップ(RFSOC)シングル・ダイ・ソリューションとして、RedCapの新たな用途を開拓する。
このRFSOCによって、最終製品メーカーは急速に発展しているRedCap市場へ進出し、企業、産業、消費者、AR、データカードアプリケーション向けに革新的な製品設計をすることができる。
また、高い効率性を有するTSMC 6nmプロセスで製造されたMediaTek T300シリーズは、シングルコアのArm Cortex-A35をコンパクトなPCBエリアに集積。下り最大227Mbps、上り最大122Mbpsのデータレートをサポートする。
さらに、MediaTekのT300シリーズとM60 5GモデムIPは、いずれも3GPP R17に対応し、業界最先端の電力効率とカバレッジ拡大および超低遅延を実現。 MediaTekのUltraSave 4.0技術の活用と不要なページングの受信を削減することで、M60は類似の5G eMBBソリューションと比較して最大70%、4G LTEソリューションと比較して最大75%の消費電力削減を実現するという。
なお、MediaTekコーポレートバイスプレジデントのJC Hsuは、RedCapソリューションについて、次のようにコメントしている。
「MediaTekのRedCapソリューションは、5Gを幅広い用途へ適用可能にするという当社の使命の重要な部分を担っており、お客さまのコンポーネントを最適化し、さまざまなアプリケーションや価格帯の5G対応デバイスをサポートする能力を提供します。5G RedCapへの移行は、レガシー4G/LTEソリューションに取って代わるもので、最先端の5G eMMBモデムソリューションやレガシー4G LTE Cat 4およびCat 6デバイスと比較して、大幅に優れた電力効率と信頼性の高いユーザーエクスペリエンスを実現します」
構成/立原尚子