食事からのナトリウム摂取量削減で血圧が大幅に低下
毎日、テーブルソルトの使用量をティースプーン1杯分(ナトリウムで2.3g)だけ控えることで、降圧薬を使用した場合と同程度に血圧を下げられることが、米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部予防医学分野教授のNorrina Allen氏らによる研究で明らかになった。
この研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に11月11日掲載されるとともに、米国心臓協会学術集会(AHA 2023、2023年11月11~13日、米フィラデルフィア)で発表された。
降圧薬を服用している高血圧患者において、食事中のナトリウム摂取量を減らすことでさらなる血圧低下が望めるのかどうかについては、明らかになっていない。
今回の研究でAllen氏らは、50〜75歳の213人(年齢中央値61歳)を対象に、高ナトリウム食(1日当たり約2,200mgのナトリウムを通常の食事に追加)、または低ナトリウム食(1日当たり約500mgのナトリウムを摂取)を摂取した場合の血圧の違いを調べ、その違いにベースラインの血圧や降圧薬の使用が影響を及ぼすのかを検討した。
対象者は、25%が正常血圧、20%がコントロールされている高血圧、31%がコントロール不良の高血圧、25%が未治療の高血圧だった。
対象者は、まず、高ナトリウム食または低ナトリウム食のどちらかを1週間摂取する群にランダムに割り付けられ、その後さらに1週間、1週目とは逆のナトリウム食を摂取した。
対象者は、試験開始日前日と、高ナトリウム食および低ナトリウム食を摂取する週の最終日に24時間自由行動下血圧測定(ABPM)と、ナトリウム摂取量を推定するための24時間蓄尿を行った。
その結果、通常の食事と比べて低ナトリウム食の摂取により1日当たりのナトリウム摂取量は中央値で2.3g減少し、収縮期血圧は6mmHg低下していた。
1週目の食事介入の週の最終日において、低ナトリウム食摂取群では高ナトリウム食摂取群に比べて収縮期血圧が8mmHg(95%信頼区間4〜11mmHg、P<0.001)有意に低く、この差は、年齢、性別、人種、高血圧の状態、ベースラインの血圧、糖尿病、およびBMIのサブグループで分けて検討しても、ほぼ同様の結果だった。
同様の傾向は、1週目とは逆のナトリウム食での介入を行った介入2週目の最終日でも認められ、低ナトリウム食摂取群では、高ナトリウム食摂取群に比べて収縮期血圧が7mmHg有意に低かった。高ナトリウム食摂取期間中に比べて低ナトリウム食摂取期間中に血圧が低下した対象者の割合は73.4%に上った。
こうした結果を受けてAllen氏は、「すでに降圧薬を服用しているかどうかに関係なく7割以上の人が食事中のナトリウムを減らすことで血圧が下がる可能性の高いことが明らかになった」と結論付けている。
また、論文の筆頭著者である米ヴァンダービルト大学医療センターのDeepak Gupta氏は、「収縮期血圧の6mmHgの低下というのは、一般的に使用されている降圧薬の効果に匹敵する。
このようなナトリウム摂取量の削減による降圧効果は、正常血圧、高血圧、治療中の高血圧、未治療の高血圧のいずれの対象者でも一貫して認められた」と強調する。
一方、論文の共著者である米アラバマ大学バーミンガム校のCora Lewis氏は、「高血圧が世界的に見ても非常に大きな健康問題であることを考えると、わずか1週間の食事療法で血圧がこれほど有意に低下し、かつ忍容性も良好であったという事実は重要だ。また、集団における食事性ナトリウムの削減が公衆衛生に及ぼす潜在的な影響を強調した結果でもある」と述べる。
また同氏は、「われわれが低ナトリウム食に使用した製品は一般に入手可能なものだ。このような食生活の改善により健康増進を図ることができるのは、とても喜ばしいことだ」と話している。(HealthDay News 2023年11月13日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2811931
Press Release
https://newsroom.heart.org/news/reducing-sodium-intake-significantly-lowered-blood-pressure-in-as-little-as-one-week
構成/DIME編集部