デメリットはある?
投信自体が持つ金融商品としてのデメリットはオルカンにもある。だが、オルカン固有の大きなデメリットは特にない。
ただ、オルカンに世界の株式市場に分散投資できるというような気持ちで投資した場合、実際異なることに注意したい。
オルカンの交付目論見書によると、投資先のほとんどが米国市場になっている。そのため、オルカンは米国市場の値動きに大きく左右される。その他の国の投資比率はわずかだ。新興国への投資もわずかで、アメリカ以外の投資先のほとんどが先進国だ。したがって、世界中の株式に分散投資しているというようなイメージで投資すると、実際は違うだろう。
個別の投資先を見ても、アップル、マイクロソフト、アマゾンというような米国の代表的な企業が多い。これまでゼロ金利を背景に米国市場は急ピッチで値上がりしてきたため、オルカンも大きく値上がりし、5年間での運用リターン平均は年率14.03%であった。
もし米国市場が成長すると考えるならば、米国株式が100%のeMAXIS Slim 米国株式(S&P)の方が、5年間の運用リターン平均は年率17.12%とさらに運用成績は良くなり、こちらに投資した方が良いことになる。
一方で、2024年以降の米国市場には景気後退懸念がある。これまで低金利を背景に急ピッチで値上がりしてきた米国市場だが、2022年に入って利上げが始まり、2023年にはその利上げが浸透し、2024年以降米国が景気後退ということになれば、どちらにしても米国市場への投資比率が高いことから値下がりリスクはある。
オルカンを積み立てると……?
オルカンの過去5年間の年率の運用利回りは14.03%だった。
もし、5年前からコツコツ毎月3万円ずつつみたてNISAで積立運用していたとすると、投資元本180万円に対して、運用利益約79万円、運用成果は約259万円になっていた。
2024年からの新NISAはつみたて投資枠が毎月10万円まで投資可能となる。毎月10万円積立投資したなら、運用利回り14.03%の場合、投資元本600万円に対して運用利益約263万円、運用成果は約863万円となる。
ただデメリットのところで述べたように、オルカンは米国株式の好調を背景に運用成績が5年間で年率14.03%、5年リタ-ンは2倍以上の120%であったが、リターンとリスクは表裏一体の関係だ。120%のリターンがあったものは、それだけ大きく下がる可能性も考えられるということだ。
最近の米国株式は乱高下しており、2024年以降は景気後退の可能性も出てきている。今から積立を始める場合には、注意が必要だ。
(参考)
日経新聞2023年11月7日「10月末の投信残高、上位は減少目立つ」
日経新聞2023年10月5日「9月末の投信残高、『世界のベスト』が8位に躍進」
投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022
文/大堀貴子
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