何もない空間で音が流れる不思議な体験ながら、環境に左右される側面も
テンプル下部には、スピーカーとマイクの穴が搭載されている。これが、HUAWEI Eyewear 2をオーディオグラスたらしめているデバイスだ。上部には、音漏れを防ぐために逆位相の音を出すスピーカーが搭載されている。この下部のスピーカーから耳に向けて直接音を届ける。指向性が強く、耳の近くでだけ音が聞こえるようになるというのがオーディオグラスの基本的な仕組み。周囲に漏れる音は、上部のスピーカーでキャンセルしている。ノイズキャンセリングの逆と考えれば、理解しやすいだろう。
テンプルの下部に、スピーカーとマイクが搭載されている。ここから指向性のある音を出し、耳に伝える
上部にもスピーカーがあるが、これは逆位相の音を出すためのもの。ノイズキャンセリングとは逆に、周囲への音漏れを防ぐ用途で利用される
音を鳴らした時、テンプル部分に触れるとわかるが、この部分がブルブルと振動している。これは、音を出すための「同一指向型デュアル振動板」の揺れだ。ハッキリとした音が出ているのは、そのためだ。イヤホンと違い、耳が塞がれていないため、周囲の音はそのまま聞こえるのが新鮮。AirPods Proなどに搭載されている、外音取り込み機能とはまた違った音の融合感を体験できる。音楽を流せば、あたかも空間にBGMがかかっているかのような感覚を覚える。
ただし、外音がそのまま耳に入ってしまうため、聞こえる音は小さめだ。例えば、街頭ビジョンや信号機などの音が入り混じる渋谷のスクランブル交差点のような場所では、最大まで音量を上げないとほとんど音は聞き取ることができない。工事現場のそばも同様だ。逆に、車通りが少ない道であれば、半分ぐらいの音量で普通に音楽を聞くことが可能。ある程度ザワザワしているような部屋であっても、問題はない。
工事現場のそば、渋谷のスクランブル交差点、駅でそれぞれ音楽を聞いてみたが、周囲の音で音楽がかき消されてしまった。ただし、駅は電車が動いていない時や、アナウンスがない時ならしっかり音が聞こえてきた
車が少ない歩道であれば、周囲の音に混ざるように音楽が聞こえる。このようなシチュエーションは、イヤホンだと危険も伴うため、HUAWEI Eyewear 2向きと言えるだろう
電車の中は微妙なところで、やはり音量を大き目にしないと、しっかり音楽を聞くのは難しい。ただし、あまりに音量を上げすぎてしまうと、音漏れが激しくなる。先に挙げたように、HUAWEI Eyewear 2は逆位相の音波をぶつけて音漏れを防止しているというが、これは音量次第。中間程度の音量であればしっかり機能する一方で、最大音量に近いと、音がダダ漏れになってしまう。電車の中で使うと、さすがにクレームを受けかねないため、注意が必要だ。静かなエレベーター内などでも、やはり音量は抑えた方がいい。
こうした頻繁な音量変更が必要になることもあり、音楽を聞くのが少々面倒。イヤホンと比べると音質もよくないため、楽曲に集中するために聞くといった使い方をするのには向かない。逆に、カフェなどで環境音的に好きな音楽を聞いたり、仕事中に気分転換のための音楽をかけたりといった時には重宝するアイテムと言えるだろう。メガネは常時つけているため、イヤホンのように忘れてしまったり、わざわざ装着する手間がかからない。