■連載/石野純也のガチレビュー
あたかも普通のメガネのように見えるのに、装着するとスマホやタブレットの音が耳元で鳴る……そんなオーディオグラスが、にわかに注目を集めている。この分野をリードしているのが、スマホやスマートウォッチでおなじみの中国メーカー・ファーウェイだ。同社は、2021年に「HUAWEI Eyewear II」を発表。韓国ブランドの「ジェントルモンスター」とコラボしたモデルも、話題を呼んだ。2022年には、新モデルの「HUAWEI Eyewear」を投入。日本市場限定の取り組みとして、メガネブランドの「OWNDAYS」と共同開発モデルも投入した。
その後継機となるのが、「HUAWEI Eyewear 2」だ。同モデルは、基板やスピーカーが組み込まれているメガネのテンプル部分をさらに小型、軽量化。音質を向上させるとともに、逆位相の音をぶつける音漏れ防止機能もさらに強化している。バッテリー容量も30%増加しており、音楽再生なら最大11時間、音声通話なら9時間の連続利用ができる。好評だったOWNDAYSとのコラボモデルも続投。メガネとしてのデザインやかけ心地をOWNDAYSが設計することで、より完成度の高いアイウエアに仕立て上げている。
より普通のメガネに近づいたHUAWEI Eyewear 2。筆者は、OWNDAYSコラボモデルのボストンウェリントン型を購入した
OWNDAYコラボモデルは、同社の店舗でレンズに度を入れることも可能だ。とはいえ、OWNDAYSが普段販売しているメガネとは、価格帯も大きく異なる。メガネで言えば、3万円台後半という価格は、ちょっとした〝ブランドもの〟。Bluetoothイヤホンとしても、比較的高機能なものがそろう。HUAWEI Eyewear 2は、本当にそれだけの価値があるメガネなのか。普段からメガネをかけている筆者が、度を入れた形で購入し、1週間強使ってみた。その真価を紹介する。
見た目はまるで普通のメガネ、OWNDAYSなら度入りレンズも無料に
まずは、その見た目から。ぱっと見では、ごく普通のメガネそのもの。前から見た形はもちろんのこと、装着しても違和感はまったくない。少なくとも、かけている時は、自分から言わなければオーディオグラスだとわかる人は皆無だろう。このデザインのお陰で、普段使いに取り入れやすい。ガジェット感はゼロ。TPOも選ばない。
かけ心地も自然で、重量も普通のメガネと大きな差はない。筆者の場合、それまでは、ジェントルモンスターの大ぶりのセルフレームメガネ「ATA」をかけていたこともあり、むしろHUAWEI Eyewear 2の方が軽いと感じているほどだ。一般的なメガネとほぼ同じようなかけ心地のため、1日中かけていることも可能。この点は、耳に差し込むイヤホンとの大きな違いと言えるだろう。常時、イヤホンを装着していると、利用シーンも変わってくる。
実際にかけたところ。髪でテンプルが隠れていることもあるが、これだと普通のメガネと見分けるのは難しい
ただし、テンプル部分は普通のメガネよりも少しだけ太い。デザインで太くしているメガネもあるため、比較対象にもよるが、わずかながら、厚みや幅があるように見える。ただ、これもメガネを外して比較したらわかるレベルの話。より細いメガネは多いが、デザインとして違和感のない範囲に収まっている。バッテリーやスピーカー、基板などをすべて盛り込み、このサイズ感で作ることができるのは、ファーウェイの技術力があってこそと言える。
テンプル部分に各種機能が収められている。本機はここがかなり小型化されたが、それでも普通のメガネよりはやや大きい
筆者が購入したのは、OWNDAYSコラボモデル。コラボモデルは計4型で、それぞれ2色ずつラインアップされている。8種類の中から選択でき、バリエーションはファーウェイ自身が手がけるモデルより多い。ファーウェイモデルはフレームにチタンを使ったものがあるなど、コラボモデルにはない特徴はある一方で、似合うかどうかはその人次第。デザインは2型に限定されるため、OWNDAYSモデルの方がフィットする人は多くなりそうだ。また、OWNDAYSモデルであれば、無料で度入りのレンズに変えることが可能。これに対し、ファーウェイモデルは割引こそあるが、レンズは有料になる。
普段かけているメガネと同じ度を入れた。これが無料になるのも、OWNDAYSコラボモデルの魅力だ
こうした点まで加味すると、OWNDAYSモデルの方が買いやすい。コラボモデルというと、通常モデルとは別口の特別感があり、数量やバリエーションも限られていることが多いが、ことHUAWEI Eyewear 2に関しては、OWNDAYSモデルも通常の選択肢の1つになりうる。むしろ、展開店舗が多いぶん、OWNDAYSモデルとの接点の方が多いほどだ。コラボモデルではあるが、その位置づけが逆転していると言えそうだ。