カロリー制限より時間制限食の方が糖尿病の食事療法に向いている可能性
糖尿病患者の食事療法における時間制限食の有用性を支持する新たなエビデンスが報告された。
米イリノイ大学シカゴ校のKrista Varady氏らが行った無作為化比較試験(RCT)の結果であり、正午から午後8時の間だけ摂食可とする時間制限食を6カ月行ったところ体重が有意に減少したのに対して、カロリー制限の減量幅は何の介入も行わなかった群と有意差がなかったという。
この研究の詳細は、「JAMA Network Open」に2023年10月27日掲載された。
時間制限食はその手軽さから人気が高まっているが、2型糖尿病の食事療法としての有効性や安全性を評価したRCTに基づくエビデンスはまだ少ない。Varady氏らはこれらの点を6カ月間の介入試験にて検証した。
18~80歳の肥満2型糖尿病患者75人(平均年齢55±12歳、女性71%、BMI39±7、HbA1c8.1±1.6%)を無作為に、時間制限食(TRE)群、カロリー制限(CR)群、および対照群のいずれかに割付け。
TRE群は毎日、正午から午後8時のみ食事摂取可とし、摂取カロリーは制限しなかった。CR群は毎日の摂取カロリーを25%減らすよう指示した。対照群は特に介入を行わなかった。データ解析は、ITT解析(脱落者も含めた解析)によった。
介入の遵守状況を見ると、TRE群で摂取時間帯が守られていたのは週当たり6.1±0.8日であり、CR群では68%(17人)が、6カ月にわたり摂取カロリー上限を守っていた。
摂取カロリーの減少幅は、TRE群が-313±509kcal/日、CR群は-197±426kcal/日、対照群は-16±439kcal/日だった。6カ月間での減量幅は、TRE群は対照群より有意に大きかった〔-3.56%(95%信頼区間-5.92~-1.20)〕。一方、CR群では対照群と有意差がなかった〔-1.78%(同-3.67~0.11)〕。
HbA1cについては、TRE群は対照群に比し-0.91%(同-1.61~-0.20)、CR群は-0.94%(同-1.59~-0.30)であり、いずれも有意な血糖コントロール改善が確認された。
ただしHbA1c低下幅はTRE群とCR群とで有意差がなく、連続血糖測定で把握した血糖値が70~180mg/dL内の時間や、血圧、血清脂質値にも、有意な群間差がなかった。なお、重篤な有害事象は報告されなかった。
Varady氏は、「われわれの研究は、2型糖尿病患者を対象に摂食時間を8時間とするTREとCRの効果を比較した初の研究である。この知見を基に、減量や血糖管理のための食事療法を必要としている患者に対して、医師や栄養士が自信を持ってTREを推奨することを期待している」と述べている。
ただし同氏は一方で、「TREをより長期間継続した場合にも、体重減少効果が維持されるのかという点がまだ不明であり、大規模な研究が必要とされる」と述べている。
また、「薬物療法を行っている場合は、食事のタイミングに合わせて服用すべき薬もあるため、TRE開始に際しては先に医師に相談すべき」と注意を呼び掛けている。
とは言え、「TREによって減量が成功すれば血糖値も下がることが多いため、薬剤を減らすこともできるはずだ」とも付け加えている。(HealthDay News 2023年10月30日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2811116
構成/DIME編集部