Well-beingに働いているシニア就業者の特徴
成長を実感しているシニアは、Well-beingに働いている。シニア就業者は他年代よりも、はたらくことを通じて幸せを感じている割合が46.6%と高く、不幸せを感じている割合は10.9%と低い。
過去1年間で仕事を通じた成長を実感したシニア就業者ほど、はたらくことを通じて幸せを感じている。なお、この傾向は他の年代にも同様に見られる。
シニア就業者は、仕事にやりがい・意義を感じることで、成長を感じている。過去1年間に成長を実感したシニア就業者にその理由をたずねると、「仕事にやりがい・意義を感じることができた」が41.9%と最多で、他の年代よりも多い傾向。他方、上司からの助言や対話によって成長を感じる機会は、他の年代よりも少ない。
Well-beingに働いているシニア部下に対する上司の行動の特徴は、「存在承認」「平等な接し方」「意見を取り入れる」「仕事の進捗支援」「組織目標の明確な伝達」だった。
調査結果からの提言
パーソル総合研究所 研究員 金本麻里 氏
■シニア就業率の推移と背景
近年の社会情勢の変化によりシニアの就業率は大きく高まっている。調査の結果、特に正社員(60代前半)やパート・アルバイト(60代後半)のシニア就業者が増加しており、70歳就業法や人手不足などによる雇用機会拡大の影響が見られた。
他方で、シニア就業者自身の「働き続けたい年齢」は上昇しておらず、働き続けるモチベーションはマクロな傾向としては変わりがないようだ。60代の転職の理由として、定年退職などが減少し「給与への不満」が増加していることからも、企業としては、継続雇用後のシニア就業者のWell-beingに目配りし、活躍を促すことが重要になるだろう。
■シニアのWell-beingと求められる企業の対応
本調査から、シニア就業者がWell-beingに働くためには、まず、仕事を通じた成長実感が重要であることが分かった。シニア就業者は、上司の助言や対話からは成長を感じにくいが、「仕事の意義ややりがい」を通じて成長を実感している。
上司(多くの場合、年下上司)は、ベテランとして尊重しながらもトップダウンな業務遂行上の支援もしっかりと行っていくことが、シニア部下のWell-beingにつながることを意識するとよさそうだ。
シニア就業者の活躍には、企業として、雇用継続の仕組みだけでなく、成長が実感できる業務分担や上司の対応といったソフト面もアップデートしていく必要がある。
関連情報
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/2023/
構成/清水眞希