パーソル総合研究所からシニア就業者(60~69歳)、およびプレ・シニア就業者(55~59歳)の就業実態・意識について分析した調査リポートが発表されたので、本稿ではその概要をお伝えする。
これは2017年にスタートして、今年で7回目となる働き方の実態や就業意識、成長の実感度・イメージについての経年調査「働く1万人の就業・成長定点調査」から、企業・個人双方のシニア活躍の検討材料を提示することを目的に2次分析を行なった報告となる。
シニアの働く意識の変化
2017年以降、シニアの就業率は高まっているが、シニア就業者の就業終了希望年齢には変化がみられない(いずれの雇用形態、職種、年収においても)。
直近のシニアの就業率の上昇は、シニア本人の意欲や希望の変化というよりは、企業の雇用姿勢の変化や老後資金獲得の必要性など、外部要因により高まっている面が大きいと推察される。
シニアの転職・副業の変化
60歳以降の転職理由、「給料に不満がある」は2021年から増加。一方、「倒産/リストラ/契約期間の満了」は減少。2021年に70歳就業法が施行されたことで、企業都合の退職が減少し、給与を理由とした自発的な転職者が増加していると考えられる。
2022年の厚生労働省の調査では、シニア就業者(60代)の18.2%が転職を経験し、他の世代の就業者と比較すると、30代の就業者に次いで多い水準だった。
シニア就業者の仕事選びの重視点は、「通勤の便」「働く時間を選択できる」。また、「自分の能力や個性を活かせる」「やりがいを感じられる」「自律的に自分の判断で仕事を進められる」など、過去のキャリアを活かして自律的に働くことを希望する傾向が見られる。
副業をするシニア就業者は、20代に次いで多い。シニア就業者の「副業」の実施率は、2021年以降横ばいで推移しており、2023年は7.5%だった。本業が短時間勤務であることが多いためか、シニア就業者の副業実施率は、20代に次いで高い。