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『マンダラチャート』に興味を持っているものの、どのようなものなのか詳しく知らない人もいるでしょう。そこでマンダラチャートの歴史やメリット、実際の書き方を詳しく紹介します。欠点や目標を達成するための大切なポイントも確認しましょう。
「マンダラチャート」とは?
スポーツ選手や経営者などが活用していることで知られている『マンダラチャート』とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?いつどのように開発されたのかなど、歴史も紹介します。
目標などを整理して視覚的に明確化する手法
マンダラチャートは、目標達成のために必要なことを視覚的に明確にする手法です。決められた数のマスに目標達成に必要な要素や行動を記入することで考えが整理され、目標を明確化できるというのが主な特徴です。
全体的な目標や解決したい問題と、それを達成するためのタスクなどが簡単に把握できるため、目標や問題の本質を理解しやすく、的確な分析がしやすいという特徴もあります。
マンダラチャートには2種類あります。3×3のマスでできた『A型チャート』と、9×9のマスでできた『B型チャート』です。シンプルな目標にはA型、より深い思考や分析が必要な目標にはB型が適しています。
「マンダラチャート」の歴史
マンダラチャートは、1979年に松村寧雄氏が開発しました。『マンダラ手帳』の制作や『マンダラチャート学会』の設立などでも知られている人物です。
きっかけは、40歳のときにコンピューターメーカーを退職し、仏教に出会ったことだと述べています。マンダラという言葉が使われている通り、マンダラチャートの根本にあるのは、『マンダラ思考』と呼ばれる仏教の開祖ブッダの知恵に由来しています。
マンダラ思考には、相互依存・統合力・感謝など8原則があり、それらを人生とビジネスを豊かにする発想法として取り入れたのです。日本で誕生したマンダラチャートですが、現在では日本だけでなく、世界中で活用されています。
「マンダラチャート」を作成するメリット
マンダラチャートを活用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを四つ紹介します。メリットを知ることで理解が深まり、自分の状況に合うツールなのか判断しやすくなるでしょう。
視覚的に把握することで思考を整理できる
頭の中だけで考えていると、なかなか考えがまとまらないというのは、よくあることです。目標などを書き出して視覚的に把握することで、思考の整理がしやすくなります。目標達成の要素や行動がひと目で分かるため、分析や意思決定がしやすいというのもメリットです。
また、複数の要素や行動がある場合は、何を優先するのか優先順位を明確にすることが大切です。マンダラチャートを使うと、必要な要素や行動が一覧で見られるため、全体のバランスを把握した上で、それぞれを比較しながら優先順位を決めやすくなります。
アイデアが浮かびやすい
マンダラチャートを完成させるためには、思考を整理して細かく分析する必要があります。目標達成に必要な要素や行動をじっくり考えるため、それまで思い付かなかった新しいアイデアが浮かびやすくなります。
新たなアイデアを思い付いたら、今度はそのアイデアを現実化するための要素や行動が必要です。このように徐々に深掘りしていくため、見落としなども生じにくくなります。
また、職場などで複数人で一つの目標達成に取り組んでいる場合は、さまざまなアイデアを出し合うツールとしても活用できます。
モチベーションを維持しやすい
モチベーションを維持することは、目標を達成するための重要なポイントです。初めはやる気に満ちていても、時間の経過とともにモチベーションが低下してしまうという経験をしたことがある人は、少なくないでしょう。
マンダラチャートは、目標を達成するためにすべきことが細分化されて記載されているため、モチベーションを維持しやすくなります。
また、一つのタスクをクリアしたときに次にやるべきことが分からずにいると、モチベーションが下がることが珍しくありません。マンダラチャートには、細分化された複数の要素や行動が記載されているため、迷いなく次のステップに移行でき、モチベーションが維持できます。
情報共有がしやすい
マンダラチャートはやるべきことが明確になっており、誰でも理解しやすいため、情報の共有などコミュニケーションツールとしても適しています。
チームワークが必要とされるタスクなどには、チームの全員が同じ目標に向かって取り組むことが求められます。簡単かつ的確に目標を共有できるマンダラチャートは、さまざまなビジネスシーンで活用できるでしょう。
また、マンダラチャートは基本的に、目標達成に必要なことを思考してマスを埋めていくだけなので、誰でも取り入れやすいツールです。フォーマットはExcelなどで簡単に作成でき、導入しやすいのもメリットです。
「マンダラチャート」の作成方法
マンダラチャートに書く内容や書き順を紹介します。それらをしっかり理解していないと、精度が低いものに仕上がってしまう可能性があるため、実際に書く前に確認しましょう。フレームはExcelなどを使って自作できますが、公式サイトからテンプレートをダウンロードすることも可能です。
参考:マンダラチャートとは|一般社団法人 マンダラチャート協会
「マンダラチャート」に書く内容
A型のマンダラチャートの場合は、中心のマスに目標や解決したい問題など『大目標』となるテーマを書きます。周りの8マスには、テーマの解決策や要因、行動計画など『中目標』を入れましょう。さらに、中目標を達成するための具体的なタスクや行動など『小目標』を書きます。
B型のマンダラチャートの場合も、基本的に書く内容は同じです。中心のマスに大目標を書き、周りの8マスに中目標を書きます。中目標の周りの8マスに小目標を書き込みましょう。
「マンダラチャート」の書き順
マンダラチャートは、各自が好きなように記入するわけではなく、開発者が定めた書き順があります。まず、『下』『左』『上』『右』の順で書きます。次に『左下』『左上』『右上』『右下』の順で書きましょう。
この書き順は、曼陀羅の東西南北の順番が由来といわれています。また、左下・左上・右上・右下と端を残した方がアイデアが浮かびやすいという説に由来しているとも考えられているようです。
「マンダラチャート」の欠点
マンダラチャートには欠点もあり、どのような状況にも最適な万能ツールというわけではありません。効果的に使うためには、欠点を踏まえた上でうまく取り入れて活用することが大切です。主な欠点を確認しましょう。
知識や経験が少ないと作成できない
マンダラチャートを埋めるには、ある程度、目標達成をしたい分野に関する知識や経験が必要です。知識や経験が少ないとアイデアが限られてしまい、具体的な行動やタスクを設定するのが難しくなります。
例えば、営業成績を上げるという目標にした場合、経験豊富な人とそうでない人では、具体的に何をしたらよいのかという知識に大きな差があるのが一般的です。どのように目標を達成できるのかなど、細分化したタスクを考えるのが難しいケースが多いでしょう。
必要な要素が抜けている場合がある
ただ思い付くままにアイデアを記入し全てのマスを埋めたとしても、必要な要素が足りなければ、目標を達成するのが難しくなります。特にその分野の知識や経験が浅いと、必要な要素が抜けていたり、不要な要素が入っていたりする場合もあるでしょう。
目標を整理する段階で精度が落ちていると、その後の具体的な行動やタスクなどにも影響します。細かい目標を設定する場合には、思い浮かんださまざまなアイデアをじっくり検討することや、抜け漏れがないか確認することが大切です。
「マンダラチャート」で目標を達成するには
マンダラチャートを完成させたからといって、必ず目標を達成できるというわけではありません。どのように生かしていくのかが重要です。マンダラチャートを活用して目標を達成するためのポイントを紹介します。
優先度の高いものから行動をする
最終的な目標を達成するには、必要な要素や行動の全てに取り組む必要があります。大切なポイントは、同時進行で複数のものに取り組むのではなく、優先度を確認して計画的に行動することです。
具体的な要素や行動を設定するときに熟考する必要があるため、重要度の高いものがおのずと見えてくるケースが多いでしょう。優先度が分かりにくい場合は、数値化するのがおすすめです。それぞれの項目に点数を付けて、点数が高い順に着手しましょう。
各項目に期日を設定する
目標を達成するための効果的な方法の一つが、それぞれの行動やタスクに期日を設定することです。期日を設定することで、よりスムーズに計画に沿って進めやすくなります。スケジュール管理もしやすくなるでしょう。
まず、目標をいつまでに達成するのかを決めます。そのためには各行動やタスクをいつまでに終わらせる必要があるのかというように、しっかり計画を立てましょう。
期日を設定するときは、1~3カ月の短い期間が適しています。期間が長すぎると、スケジュール管理が難しくなるだけでなく、モチベーションの低下にもつながりやすくなります。
6カ月以上など長くかかるタスクについては、可能であれば二つのタスクに分けて、それぞれに期間の短い期日を設定するのもよいでしょう。
定期的な見直しも大切
作成したマンダラチャートは、定期的に見直しをして必要であれば修正を加えて書き直すことが大切です。見直すポイントは、目標がどの程度達成できているか、書いた内容がこのままでよいのかといった点です。
定期的に見直しを行い、少しずつでも目標達成に近づいていると実感することは、モチベーションの維持にも役立ちます。思うように進んでいない場合は、一度立ち止まって原因や対策を考えた上で、軌道修正をする機会にもなります。
また、行動していくうちに知識が増し、新たなアイデアが浮かぶ場合もあるでしょう。その都度アップデートしていくことで、より精度の高いマンダラチャートに仕上がっていきます。
構成/編集部