昨年からアジア系高級ホテルの日本進出が相次いでいる。欧米ブランドのホテルは地方都市にも多く出店しているが、最近はアジア系が急増しているのが特徴だ。
22年6月にはシンガポール企業のバンヤンツリー・ホールディングスが『ギャリア・二条城 京都』を、今年7月にはタイのセントラルグループが『センタラグランドホテル大阪』をオープン。11月には東南アジアを中心に高級ホテルを展開するアマンが手がける『ジャヌ東京』も開業する。いずれも日本初進出のブランドばかり。背景をホテル評論家の瀧澤信秋さんに聞いた。
「実は、海外ブランドのホテル進出は街の再開発と密接に関係しています。これは再開発を手がける企業が、新しい街に新しいブランドを誘致したいと考えるため。従来、欧米系が中心でしたが、有名ブランドはほぼ日本に進出済み。そこで、セレブの間で注目され始めたアジア系高級ホテルに白羽の矢が立ちました。アジア系ホテルは、独自性を押し出しやすいのが特徴です」
その土地の文化を取り入れ融合させることで、オリジナルのサービスや体験を提供してくれるという。
「私は常々ラグジュアリーホテルは〝五感で楽しもう〟と伝えていますが、特にアジア系は五感を刺激してくれます。例えばにおい。控えめな欧米系と違い、フレグランスがしっかりたかれ、ホテルに入った途端にその国独特の雰囲気に包まれます。外観や空間づくり、客室のインテリアも独自デザインであることが多く、見るだけでも楽しめます」
24年夏に開業予定の『バンヤンツリー・東山 京都』は、館内に能舞台を建設予定。アジア系高級ホテルに、宿泊だけでなく異国情緒を味わいに出かけてみてはどうだろう。
京都/2023年9月オープン デュシタニ京都
住所:京都府京都市下京区西洞院町466
客室:147客室
宿泊費: 6万3250円~125万2350円(※)
日本伝統文化とタイネスを融合
日本初進出の、タイのホテル大手によるラグジュアリーブランド。タイのアユタヤと京都の建築様式から発想されたデザインが美しい。レストランやスパはビジターも利用可。
タイ料理『Ayatana』は永らく途絶えていたタイ伝統料理を提供。
スタンダードな客室でも40平方メートルの広さ。優雅なタイネス(タイらしさ)と日本文化が融合。