中性脂肪は体内にある脂肪の一種。摂取された食物の中で、エネルギーとして使われなかった糖質や脂肪は、大部分が皮下脂肪として蓄えられ、そのほとんどが中性脂肪だ。
中性脂肪(トリグリセリド)は全身の脂肪組織の主成分であり、エネルギーを貯蔵する役目を担っている。
普段は肝臓・皮下・血液中に存在し、糖質が不足するなどした場合、必要に応じてエネルギー源として、また、生命維持のために消費、代謝されるが、血液中の中性脂肪濃度が高いと、肥満症や脂肪肝になりやすいと言われている。
ユーグレナは、ユーグレナ・マイヘルスとジーンクエストの遺伝子解析サービスのゲノムデータをもとにした「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県※1ランキング」を公開した。
※1 出生地に関するアンケートから都道府県を出している
縄文人由来の遺伝子多型を多く持つタイプが多い九州や東北が上位に
今回の調査では、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ」である「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CT)」と「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CC)」の遺伝子型を「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」とし、この遺伝子タイプに該当する人の割合を都道府県(出生地)別に算出し、数値化した。
上記の解析結果より、「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」の人の割合が相対的に高い都道府県は、1位 沖縄県、2位 佐賀県、3位 鹿児島県、4位 秋田県、5位 島根県、6位 福島県、7位 宮城県、8位 山形県、9位 宮崎県、10位 新潟県となり、九州や東北各県が上位に入った。
また、日本人における遺伝子型の割合は、「標準型に多いタイプ(遺伝子型:TT)」が42.6%、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CT)」が45.6%、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CC)」が11.8%であった。日本人の約6割が「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプ」に該当することも判明。
東京大学の研究チームが2023年2月にアメリカの科学誌「アイサイエンス(iScience)」のオンライン版で発表した研究論文※2では、縄文人由来の遺伝子多型を多く持っている、つまり「縄文度」が高い地域として、一番高いのは沖縄県で、次いで東北各県や九州では鹿児島県、中国地方では島根県と報告されている。
これは今回の調査で「肥満型で中性脂肪が高い遺伝子タイプが多い都道府県ランキング」の上位に入った地域と非常に似ていることが見て取れる。
なお、縄文人由来の遺伝子多型である「血糖値および中性脂肪を高める」遺伝的因子は、現代の日本人にとっては肥満の要因となるものの、縄文人にとっては、血糖値や中性脂肪を高く維持することで常に食料を入手できるわけではない狩猟採集生活に適応していた可能性があると考えられている。
※2 参考にした文献は次の通り。Watanabe, Yusuke, and Jun Ohashi. (2023) “Modern Japanese ancestry-derived variants reveal the formation process of the current Japanese regional gradations.” iScience. 3;26(3):106130
調査概要
調査方法:ゲノムデータの解析をもとに調査
調査対象:「ユーグレナ・マイヘルス 遺伝子解析サービス」、「ジーンクエストALL」の利用者
対象者数:ゲノムデータ:21,371人
調査時期:2023年9月
調査項目:ゲノムデータ「ダイエット[脂質代謝](SNP:rs651821)」の項目について、「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CT)」に該当する人と「肥満型に多く血中脂質濃度が高いタイプ(遺伝子型:CC)」に該当する人の割合を足して、都道府県ごとに算出
関連情報
https://myhealth.euglena.jp/products/gene_analysis/
構成/Ara