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レクサスの新型EV「RZ450e “Version L”」に乗ってみて感じた既視感の正体

2023.11.22

商品として魅力的か?★★★3.0(★5つが満点)

 ドアを開けて驚かされたのは、インテリアだった。とてもセンスの良くまとまっている。エクステリア色のライトブルーメタリックと合わせて、インテリアの革や樹脂などのパーツのほとんどがさまざまな色調のブルーとオフホワイトの2色だけでまとめられている。

シフトダイヤル周辺のパネルの木目柄も茶色系ではなく、ネイビーの木目と徹底している。シートやドア内張に用いられている革も、東レのウルトラスエードを使ってパーフォレーション(孔)の有無を使い分け、アクセントとして縁取りにネイビーの表革を配したり、バランスもセンスも抜群。色数を抑え、素材に適した大きさで、ふさわしい場所に用いるという、簡単な大原則が守られていないクルマがほとんどなのだ。特に日本車。だが、これは例外中の例外。

 後席の足元が広いのも大きな美点だ。センタートンネルがないから床はフラットで、前席の背もたれまでの間隔も長い。センターモニター画面とメーターパネルの表示を見較べると、クオリティーの違いが一目瞭然なのが惜しい。メーターパネルは面積が小さいにもかかわらず、画素数が粗く、ひと昔前の感じに見える。センターモニター画面が鮮やかなので、余計に強くそれを感じる。

 また、運転支援機能の作動状況の表示が3つにも重複してしまっている。ひとつはメーターダイヤル右隣の小さなアイコンが緑に点灯すると実効していることを示している。もうひとつは、メーター下半分の各種表示を十字キーで切り替えると、大きく作動状況が表示される。さらに、ヘッドアップディスプレイに簡易的に表示されるから3つ。

 インターフェイスに於いては混乱していて、スッキリしていない。増築に増築を重ね迷路化してしまった温泉旅館みたいだ。指摘する人が誰もいなかったのだろうか?「RZ450e」はEVであり、多機能であり、新しい価値と世界観を持っているはずのに、それらを商品としてうまく表現し切れていない。エンジン車時代の感覚と価値観に囚われ過ぎてしまっているようにも思える。

 エクステリアデザインから始まり、走りや細部にいたるまで、“どこかで見た感じ”が付きまとっている。良くも悪くも予想通りで、既視感に捉われる。せっかくのレクサスのEVなのだから、“今まで見たこともなかった”という驚きも感じさせてもらいたかった。

■関連情報
https://lexus.jp/models/rz/

取材・文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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