割安株の定義に注意せよ
そもそも割安株というと、どんなイメージを持つでしょうか。
ここで気をつけなければならないのは、ミネルヴィニのいう割安株とは、かつては株価が高かったものの、現在は株価が安くなっている銘柄を指しているわけではありません。
実は成長株投資の考え方はこれとは真逆です。
なぜなら、株式市場では安そうにみえる銘柄こそ高く、高すぎるようにみえる銘柄こそ次の急成長株の可能性があるからです。
つまり現実社会において、本当に価値があるものは、高値で取引されているということです。
もうひとつ気をつけなければならないことが「PER」です。
PERとは株価収益率のことで、株価をEPS(1株あたりの利益)で割った数字です。
つまり、現在の株価が会社の利益の何倍かを測るモノサシですが、ミネルヴィニいわく、多くの投資家がPERに頼りすぎているといいます。
なぜなら、ミネルヴィニが過去の急成長株を徹底的に分析してみると、PERを単独で参考にすることが最も役に立たなかったという結論に達したからです。
このようにPERとは、あくまでも過去の結果であり、将来を考慮していません。
このことから、高PERは必ずしも敬遠すべきではないのです。
そもそも急成長株であれば、プレミアムが付くことが多く、会社が急成長している株というものは、市場の3~4倍の高PERで取引されることも多いのです。
このとき、急成長が見込まれる株は実際の価値以上にPERが付いているように見えるため、多くの投資家が敬遠します。しかし、会社が高成長を続けるフェーズでは、PERで評価しても役に立たないのです。
実際、代表的な急成長株の多くが、低PERになるケースはほとんどありません。
このことから、成長速度の速い企業が高PERであるのは理にかなっているとミネルヴィニは発言しています。
ミネルヴィニの成長株投資のポイント
ミネルヴィニが提唱する成長株投資には下記のようなポイントがあります。
【リスク管理の徹底】
リスクを最小限に抑え、損失を広げないよう注意深くトレードを行う。
取引開始前に損切りのタイミングを決めておく。
【不利な状況でのトレード回避】
トレードが不利な状況にあれば、損切りして再度トレードを開始するタイミングを見極める。
【利益確保】
利益のあるポジションを保持する際は、慎重に状況を分析し、早めに利益を確定する。
【損益分岐点のルール】
買値や売り値をあらかじめ指定しておき、保証された利益を確保する。
【底値での購入を避ける】
底値を狙うのではなく、明確な上昇トレンドが見えた時に買う。
【ポートフォリオの集中】
限られた銘柄に集中投資し、優れたリターンを生み出す。
【計画的な取引タイミング】
テクニカルとファンダメンタルの両面で有望なタイミングでトレードを行い、上昇が十分であれば売る。
【リードする企業への投資】
注目するセクター内でリードする企業(業界No.1)に集中投資する。
おわりに
ミネルヴィニの成長株投資法は、リスク管理の徹底と利益確保に焦点を当て、急成長株に投資する際の道標となるはずです。そのトレード哲学は、急成長株の特徴や市場の動きを的確に捉えることで成功を収めてきました。
投資家は自身の投資手法を見つけ、冷静な判断と時間をかけて成熟していくことが重要です。
ミネルヴィニの手法を参考にしつつ、自身の経験や市場の変化に適応することで、投資の成功確率を上げることが出来るのではないでしょうか。
また個人的には、ポートフォリオのメインに全世界や全米にまるごと投資をするインデックスを置き、余剰資金で成長株などの個別株に投資をすることで、リスクヘッジが可能になると思います。
文/鈴木林太郎