日常的な不安や緊張を和らげ、自分自身の気持ちと向き合う「マインドフルネス」。ストレス解消法の一つとして導入する企業も増えているが、正確な言葉の意味や語源を知らずに実践している人も少なくない。
そこで本記事では、「マインドフルネス」の意味や語源、プログラムの種類について詳しく解説していく。マインドフルネスを続けた際の効果も、併せてチェックしてほしい。
マインドフルネスとは?
まずは、マインドフルネスの意味と語源を解説する。混同しがちな「メディケーション」との違いも押さえておこう。
■〝今〟という瞬間に集中し、潜在意識と向き合うトレーニング
「マインドフルネス」は、英語で“mindfulness”と表記する。過去や未来ではなく、今自分の周りで起きている物事や潜在意識に集中することを指す言葉だ。マインドフルネスは、瞑想や呼吸法を取り入れた心理療法の一つ。嫌な物事を意図的に避けようとする回避行動を防ぎ、ポジティブな考え方に切り替えていく役割がある。
■語源はパーリ語の「sati」とサンスクリット語の「smrti」
「マインドフルネス」は、古代インドで用いられていたパーリ語の「sati(サティ)」、サンスクリット語の「smrti(スムリティ)」が語源とされている。ある物事を常に心に留めるという意味を持つ言葉だ。
また1979年、マサチューセッツ大学医学部教授ジョン・カバットジンの研究により、「マインドフルネスストレス低減法」が開発される。当時は、慢性的な疾患を抱える患者の精神的負担を軽減させることを目的としていた。徐々に心と体の健康を増進するものとして、ヨガスタジオや老人ホームなどで技法が用いられるようになった経緯がある。
■「メディテーション」との違い
「メディテーション」は、精神を沈めて集中させるトレーニングを指す。英語では“meditation”と表記し、和訳すると「瞑想」。一定のリズムで呼吸を繰り返しながら、今という時間を意識して穏やかな心にする役割がある。
メディテーションの歴史は古く、約5,000年前の古代インドにまでさかのぼる。インダス文明に建造された遺跡「モヘンジョダロ」の中から、瞑想を行っているような姿を造形するレリーフが発掘された。当時は仏教やバラモン教などの修行として定められていたが、時代の流れとともに宗教色を取り除いた瞑想が広く普及するようになった。
マインドフルネスの種類
次に、マインドフルネスの種類を見ていこう。
■ボディスキャン瞑想
「ボディスキャン瞑想」は、体の各部位に意識を向けて感覚を観察していく瞑想法。緊張から起こる筋肉のこわばりや痛みなどがあるかを感じ取りながら、余分な力を抜いてリラックスに導くことを目的としている。加えて脳の疲労を軽減させる効果に期待できるため、寝付きが悪い方は就寝前に行ってみるのがおすすめだ。
■マインドフルネスヨガ
「マインドフルネスヨガ」は、今に集中するマインドフルネスとヨガを組み合わせた瞑想法。体を動かしながら心身の状態を観察していくため、緩やかな動作を伴うトレーニングが多い。さらにヨガマットを使用すると足元が滑りにくくなり、より体幹を意識したポージングが可能となる。
■静坐瞑想
「静坐瞑想」は、自分の思考や感情を受け容れ、ネガティブな感情を切り離していく瞑想法を指す。床や椅子などに姿勢を正して座り、穏やかな呼吸を繰り返していくトレーニングだ。雑念を気にせず取り組んでいけば、徐々に自責思考を改善できるという。
マインドフルネスを続けるとどんな効果に期待できる?
最後に、マインドフルネスを続けることで期待できる、心身の健康効果を紹介する。
■集中力が向上する
潜在意識に着目するマインドフルネスは、トレーニングを重ねていくことで集中力や記憶力の向上が期待できる。そのため、仕事や勉強などで複数の作業を同時並行している場合であっても、質の高いパフォーマンスを生み出せるだろう。
■ストレスが軽減し、睡眠の質が高まる
マインドフルネスを通して精神面が安定していけば、徐々に睡眠の質が高まることがある。脳はリラックスした時、幸福を感じる「左前頭葉前部皮質」が発達すると言われる。そのため、交感神経と副交感神経がバランスよく整うことから、ストレスを軽減させ快眠に繋がりやすい。
■物事をポジティブに捉えられるようになる
自分自身の思考や感情を認める考え方は、身の回りで起きる物事をポジティブに捉えられるようになる。「今という瞬間」に集中し、過去の失敗や未来に対する不安などから離れることで、心とうまく向き合えるようになるはずだ。
※データは2023年11月中旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/編集部