あなたは人から「なにが言いたいのかわからない」と言われてしまったり、メールの文章が長すぎて肝心な要件が伝わっていなかったという経験はありませんか? ついいろいろ言いたくなってしまい、伝わらないモヤモヤを抱えていませんか?
実は、このような悩みは「ひと言でまとめる技術」の手にかかればすべて解決してしまいます。ポイントはたった2つ。「捨てる」それから「まとめる」。このコツさえつかめば、伝わり方が劇的に変わります!
言葉をまとめるプロが明かす、言語化と伝え方の究極のスキルをまとめた書籍『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
ビジネス文書は事実を伝えるだけではダメ
ここまで勇気を持って削り、文章を簡潔に伝わりやすくする7つの法則をお伝えしました。
それでは総仕上げです。これまでお伝えした技術や法則を使って、身の回りにあるまだるっこしい文章たちをまとめていきましょう。
(1)報告書
(2)依頼文
(3)スピーチ原稿
(4)企画書
とくにビジネスにおいて需要のあるこの4つについて、具体的に見ていきましょう。
(1)報告書
お手本になる、歴史的な報告書をふたつご紹介します。
まずはひとつめです。
●「来た。見た。勝った」
これは、古代ローマ皇帝カエサルが、ポントスのファルナケス2世との短期決戦でゼラの戦いに勝利したことを手紙で報告する際に用いたと言われています。
もちろん、手紙にはほかの内容も書かれていたわけですが、ここだけ読めばすべてがわかります。まさにカエサルの戦果と勝利までの迅速さを、適切かつ簡潔に表現しています。
もうひとつは、
●「?」「!」
です。もはや文章ですらありません。
この手紙を書いたのは『レ・ミゼラブル』の著者として有名なヴィクトル・ユーゴー。フランスを代表する小説家です。
『レ・ミゼラブル』を出版したとき、彼は旅に出ていました。売れ行きが気になり、編集者に出した手紙には、便せんの真ん中に「?」とだけ書かれていました。意図を瞬時に読み取った編集者は、同じく便せんの真ん中に「!」とだけ書いて返信したのだそうです。たった1文字のなかに、「本の売れ行きはどうですか?」「好評ですよ!」といった意図が込められていたというわけです。
なぜこのふたつがお手本かというと、よい「報告書」の条件は、
●簡潔で具体的である
●言いたいことが相手によくわかる
ものだからです。語り継がれている名文だけあって、どちらも受け手が瞬時に理解できる前提で書かれていて、テーマに対して簡潔かつ具体的です。
さらにビジネスの観点で言えば、
●未来へつながっている
という条件がプラスされます。仕事における報告書には、ただ事実を伝えるだけでなく、「それを踏まえて自分はどうすべきだと考えているのか」という要素が必要です。
なぜなら、ビジネスに終わりはないからです。
ひとつのタスクや大きなプロジェクトが終わっても、必ず次があります。
そこに言及してようやく「報告書」は完成します。
★ ★ ★
いかがだったでしょうか?
「ひと言でまとめる技術」はビジネスパーソンの悩みだけを解決する技術ではありません。話をしてもパートナーに言葉が届いていないと感じている方。自分は面白いと思ったのに、友人の反応はイマイチ。ちゃんと伝えたつもりなのに間違った料理を出されてしまった。こんな悩みも解決する伝え方のコツも満載です。
「伝え方」を追求し続けてきた著者が、すべての「伝え方」で悩む人たちに手にしてほしい技を是非、書店でチェックしてみてください。
『ひと言でまとめる技術
言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』
著/勝浦雅彦/アスコム
勝浦雅彦
(かつうら・まさひこ)
コピーライター。法政大学特別講師。宣伝会議講師。
千葉県出身。読売広告社に入社後、営業局を経てクリエーティブ局に配属。その後、電通九州、電通東日本を経て、現在、株式会社電通のコピーライター、クリエーティブディレクターとして活躍中。また、15年以上にわたり、大学や教育講座の講師を務め、広告の枠からはみ出したコミュニケーション技術の講義を数多く行ってきた。クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリスト、ADFEST FILM 最高賞、Cannes Lions など国内外の受賞歴多数。著書に『つながるための言葉』(光文社)がある。