あなたは人から「なにが言いたいのかわからない」と言われてしまったり、メールの文章が長すぎて肝心な要件が伝わっていなかったという経験はありませんか? ついいろいろ言いたくなってしまい、伝わらないモヤモヤを抱えていませんか?
実は、このような悩みは「ひと言でまとめる技術」の手にかかればすべて解決してしまいます。ポイントはたった2つ。「捨てる」それから「まとめる」。このコツさえつかめば、伝わり方が劇的に変わります!
言葉をまとめるプロが明かす、言語化と伝え方の究極のスキルをまとめた書籍『ひと言でまとめる技術 言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【さあ、ひと言でまとめよう】相手の時間を奪わないために、簡潔な表現を身につける
まず法則をお伝えする前に、大事なお願いをもう一度言います。
勇気を持ってまとめてください。
日本人はとにかく「はっきりと物を言う」ことが苦手です。だから日本語もつい曖昧な表現になり、それを「察する」ことが美徳と考えている人もいます。
しかしこの本の目的は、「相手に敬意を持ち、時間泥棒にならないこと」です。
あなたが勇気を持ってひと言にまとめることが、相手のためにもなるのです。
それでは、実際にひと言にまとめるために必要な7つの法則をお伝えします。
[法則4]箇条書きを使ってわかりやすくする
この文章の内容をご存じでしょうか。
●いつでも隊士らしく堂々と戦って、武士道を重んじましょう。ちなみに一度我が隊に入隊したら抜けることはできませんよ。隊士同士でお金の貸し借りを禁止します。アルバイトなんかもだめです。隊に報告しないで裁判に関わったりしないでくださいね。隊の仲間内はもちろん、よそでも許可なく戦闘や喧嘩をしてはいけません。
歴史が好きな方はピンと来たかもしれません。
これは、幕末に活躍した「新撰組の局中法度(隊のルール)」を文章化したものです。
これまで見てきたよくない文章例に似ている気がしませんか?
じつは「新撰組の局中法度」の本物は、箇条書きになっています。
『新撰組局中法度』(現代語訳)
一、いつでも隊士らしく堂々と戦って、武士道を重んじましょう。
一、一度我が隊に入隊したら抜けることはできません。
一、隊士が勝手に金策することを禁じます。
一、隊士が勝手に裁判に関わることを禁じます。
一、局内での私闘を禁じます。
じつに簡潔でわかりやすいですよね。この法度をひと続きの文章で書こうとしても、ここまでわかりやすくなりません。
伝えたいことが並列で多数存在する場合は、箇条書きにしていくとグッとわかりやすくなります。日本国憲法も全百三条の箇条書きになっています。
とくに、マニュアルや申込書のような複雑な手順を必要とするものをわかりやすくするのに、箇条書きのテクニックは必須です。
〈練習問題〉
次の文章を、「箇条書き法」で伝わりやすくまとめてみましょう。
●あいみょんのLIVEチケットは、QRコードからサイトへ飛んで、希望日程をクリックし、名前とメールアドレス、携帯番号を入力したら、代金振込の口座番号が表示されるので、案内に従って入金してください。確認メールが届いたら予約完了になります。*5分間操作がないと無効になります。
↓
(修正例)
●あいみょんのLIVEチケット申し込み方法
(1)QRコードからサイトへ飛ぶ
(2)希望日程をクリック
(3)名前とメールアドレス、携帯番号を入力
(4)表示された代金振込口座に入金
(5)確認メールが届いたら予約完了
*5分間操作がないと無効
こんなにわかりやすくなりました。
箇条書きは、話し言葉である必要はありません。
余計な修飾語を削ぎ落とし、語尾を体言止めにするとつくりやすくなります。
ただし、箇条書き法は文章を情報化してシンプルに伝えるので、感情や情緒の表現には向いていません。複雑な状況を整理して、誤解なく伝えたいときに使うのがおすすめです。
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いかがだったでしょうか?
「ひと言でまとめる技術」はビジネスパーソンの悩みだけを解決する技術ではありません。話をしてもパートナーに言葉が届いていないと感じている方。自分は面白いと思ったのに、友人の反応はイマイチ。ちゃんと伝えたつもりなのに間違った料理を出されてしまった。こんな悩みも解決する伝え方のコツも満載です。
「伝え方」を追求し続けてきた著者が、すべての「伝え方」で悩む人たちに手にしてほしい技を是非、書店でチェックしてみてください。
『ひと言でまとめる技術
言語化力・伝達力・要約力がぜんぶ身につく31のコツ』
著/勝浦雅彦/アスコム
勝浦雅彦
(かつうら・まさひこ)
コピーライター。法政大学特別講師。宣伝会議講師。
千葉県出身。読売広告社に入社後、営業局を経てクリエーティブ局に配属。その後、電通九州、電通東日本を経て、現在、株式会社電通のコピーライター、クリエーティブディレクターとして活躍中。また、15年以上にわたり、大学や教育講座の講師を務め、広告の枠からはみ出したコミュニケーション技術の講義を数多く行ってきた。クリエイター・オブ・ザ・イヤーメダリスト、ADFEST FILM 最高賞、Cannes Lions など国内外の受賞歴多数。著書に『つながるための言葉』(光文社)がある。