近頃、SNS上で見かけることもある「承認欲求」という言葉。しかし、単語のニュアンスは理解できても、よく似た「自己顕示欲」との意味の違いを説明できない方は意外と多いのではないだろうか。
そこで本記事では、「承認欲求」の正しい意味や自己顕示欲との違い、承認欲求が強い人の特徴を解説する。併せて紹介する、承認欲求の満たし方もぜひチェックしてほしい。
承認欲求とは
承認欲求は、心理学用語の一つだが、最近では日常会話のなかで用いられることも増えている。まずは、承認欲求が何を意味する言葉なのか、理解を深めていこう。
■人間が持つ欲求の一つ
承認欲求とは、「他人から認められたい」「価値ある存在として自分を認めたい」という人間が持つ欲求の一つ。「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれており、「自分の話を聞いてほしい」「自分の努力を褒めてほしい」という不満を起点としたネガティブな感情を指す際に用いられるケースが多い。承認欲求が満たされた状態になると、モチベーションや自己肯定感、向上心などのポジティブな感情に繋がる。
■承認欲求のレベルは2つ
承認欲求のレベルは、「他者承認」と「自己承認」の2つに分類できる。
「他者承認」は、「他者から認められたい・褒められたい」という欲求で、他者からの称賛や尊敬、地位・名声・権威などによって満たされる。この欲求が過剰になると、他者の視線ばかり気になってしまい、周りに振り回される恐れもある。
「自己承認」は、「自分のことを認めたい」「自分自身の能力を高めたい」「今よりさらに成長したい」という欲求で、他者承認よりも高いレベルの承認欲求だとされている。新しいスキルや能力を身に付けたり技術を磨いたりすることで、自己肯定感が高まり、この欲求が満たされる。
■承認欲求と自己顕示欲との違い
承認欲求と自己顕示欲は、それぞれ異なる欲求を指す言葉だ。
自己顕示欲は「他者よりも自分を目立たせたい」「周りに自分をアピールしたい」欲求のことを指す。両者は似た意味を持つ言葉だが、欲求の対象が微妙に異なるため、使い方に気を付けよう。
承認欲求が強い人の特徴
次に、承認欲求が強い人の特徴を4つ紹介する。
1. 積極的に主張、アピールをする
承認欲求が高い場合、自己顕示欲も高まって他人からの承認を得ようと過度に自分をアピールすることがある。他人に認めてもらおうとする具体例として、高価なものを身に付けたり、高いパフォーマンスを発揮したりすることが挙げられる。
2. 相手の話に耳を傾けず、自分の話ばかりする
承認欲求が強い場合、自分の話を他者に聞いてほしい思いも強まる。そのため、他人と会話をしていても、終始自分の話をすることも少なくない。急に自慢話をしたり、話の流れを無視して自分の話ばかりすることもあり、双方向のコミュニケーションが成立しづらい。
3. 他人からどう思われるか過度に気にしている
承認欲求には他者から批判・否定されたくないという欲求も含まれているため、承認欲求が強いと他人からどう思われるかが過度に気になる傾向にある。例えば、自分の意見が否定されることを極端に嫌がり、小さなことでも怒ったり悲しんだりするといった行動が見られる。
4. プライドが高い
「自分はできる」「自分は特別だ」という認識を持ち、プライドが高いことも承認欲求が高い人の特徴の一つ。主張・アピールの積極性が強すぎると、他者から嫌悪感や反感を抱かれてしまう可能性がある。
承認欲求の満たし方
最後に、承認欲求の満たし方を見ていこう。承認欲求が強い人の特徴に当てはまる人が周りにいる場合は、チェックしておくことをおすすめする。
1. 存在承認を満たす
まず、存在そのものを承認する「存在承認」を満たすことで承認欲求を満たせる。存在承認とは、名前を呼んだり、挨拶をしたり、目を合わせたり、意見を求めたりと、気にかけていることを言動で伝えることを指す。その人の服装や髪型が、普段と異なることに気付くのも存在承認の一つだ。
2. 行動承認を満たす
行動承認とは、自らの行動が理想に描いていた結果に繋がらなかった場合でも、行動したこと自体を褒めることだ。誰よりも早く行動した、誰もやっていなかったことに気付いたなど、より具体的にどう動けていたかを褒めると、さらに行動承認が得やすいだろう。
3. 成長承認を満たす
成長承認とは、今までと比較して成長したことを認めることだ。例えば、前よりも仕事の質が上がった、仕事のスピードが速くなったなど、当人ができるようになったことを褒めると成長承認につながる。
4. 結果承認を満たす
結果承認とは、実際に達成したことやできたことを認めることだ。具体的には、仕事の成果であれば、昇給や出世などの結果を出せることが例として挙げられる。式典で表彰されたり、ニュースに取り扱われたりと、承認の場を設けることも結果承認を満たすのに効果的な手段だ。
※データは2023年11月中旬時点のもの。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
※製品およびサービスのご利用はあくまで自己責任にてお願いします。
文/編集部