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『NPO法人』という言葉は知っていても、具体的にどのような団体なのか詳細を理解していない人もいるのではないでしょうか?NPO法人の種類や活動内容について確認しましょう。どのようにして資金を得ているのか、資金源についても確認します。
NPO法人とは
『NPO法人』とはどのような団体を指すのでしょうか?NPO法人の種類と併せて紹介します。一般的な企業やボランティアとの違いも見ていきましょう。
■営利を目的とせず社会貢献に従事する団体
NPOは『Non-Profit Organization』の頭文字を取った略称で、非営利組織全般を指します。一方でNPO法人は、1998年に施行された『特定非営利活動促進法(NPO法)』に基づいて設立された法人で、正式名称は『特定非営利活動法人』です。
NPO法人は社会貢献に従事することを目的とした団体で、営利を目的としていないのが特徴です。ただし、営利を目的としないというのは、無償で社会貢献をしなければならないという意味ではありません。活動で得た利益を団体の構成員に分配しないという意味です。
■NPO法人の種類
NPO法人には、基本的には三つの種類があります。認証や認定という段階を踏んで、『NPO団体→特定非営利活動法人(NPO法人)→認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)』と変化しますが、審査や実態確認を経なければならないため、順を追って信頼度も高まるといえるでしょう。
NPO団体は法人ではなく、個人が集まった団体です。NPO法人の場合は、設立する際に所轄庁に申請、認証を受けた後、登記することにより法人として成立します。認定NPO法人は、NPO法人の中で、直前の2事業年度で一定の規定を満たしており、所轄庁の認定を受けている法人です。
また、特例認定特定非営利活動法人(特例認定NPO法人)という種類もあります。設立後5年以内のNPO法人で、一定の基準を満たす場合に1回に限り特例認定を受けられるという『特例認定NPO法人制度』に基づいています。
参考:NPOのイロハ|NPOホームページ|内閣府
参考:認定制度について|NPOホームページ|内閣府
■一般企業やボランティアとの違い
一般企業において、株式会社であれば事業を通じて株主に経済的な利益をもたらすのが、基本的な事業目的の一つです。一方でNPO法人は、社会に対して利益をもたらすのが事業目的であるという違いがあります。
また一般企業では、商品やサービスを提供する対価として顧客からお金を受け取ります。NPO法人の場合も、顧客からお金を受け取ることもありますが営利を目的としていません。支援者からの寄付金なども事業の資金に充てています。
ボランティアは、社会貢献を目的とした活動である点は同じです。しかし、ボランティアは個人が自発的に無報酬で行う活動であるのに対し、NPO法人は個人ではなく非営利を目的とした組織であり、無報酬というわけではない点が違います。
NPO法人の活動分野
NPO法人は、どのような分野で活動をしているのでしょうか?さまざまな活動に携わっていますが、主な活動分野について紹介します。
■20種類の特定非営利活動
NPO法人の活動分野は、『特定非営利活動促進法』で定められている20種類です。NPO法人数が最も多い分野として、例えば介護支援サービスなど保健・医療・福祉の増進を目的とした活動が挙げられます。
パソコン教室などの社会教育の推進、いじめ相談や児童虐待防止など子どもの健全な育成を図る活動をしている団体も数多くあります。地域の行事を開催するなどまちづくりの推進を図る活動や、地域の観光の復興や安全を維持する活動など、地域に根差した活動に従事する団体も少なくありません。
スポーツ教室の運営や伝統芸能・文化の継承を目的とした活動を行うなど、スポーツ・文化・芸術の振興を目指す活動もあります。そのほかにも環境保全・災害救助・国際協力・経済活動の活性化など、NPO法人は多岐にわたる活動に携わっているのです。
参考:特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)「別表(第二条関係)」
参考:特定非営利活動(NPO法人)制度の概要|内閣府
参考:認証数(活動分野別)|NPOホームページ|内閣府
NPO法人の資金源は?
NPO法人はどのように活動資金を得ているのか、主な資金源を四つ紹介します。NPO法人を通して社会貢献をしたいという人は、資金源を知ることで支援する方法も分かるでしょう。
■団体に加入する会員の会費
NPO法人の多くは、正会員や賛助会員などを設定しています。加入者から支払われる会費は、重要な資金源です。使途の制限がなく、自由度が高いのがメリットといえるでしょう。また会費は、毎月・毎年というように定期的に支払われるため、安定が見込める資金源でもあります。
会員になるのはその団体の活動に賛同しているからで、長期的に支援してもらえる可能性が高いといえるでしょう。支援を続けてもらうために、会員とコミュニケーションを取り、活動内容をより深く理解してもらうことに力を入れている団体も少なくありません。
■寄付金
個人や企業からの寄付は、大切な資金源です。金銭だけでなく、不用品など物資での寄付もあります。団体の活動全体に対して募った寄付の場合は、使途の制限がありません。しかし特定の活動などを指定して募った場合は、使途が限られる場合があります。
近年は、寄付する個人や企業が増えているものの、欧米と比べると寄付文化が広く浸透しているとはいえないのが現状です。よりよい社会を築くための活動に必要な資金を集めるためには、日本社会に寄付文化を浸透させる工夫が必要といえるでしょう。
■助成金や補助金
国や地方自治体、支援団体などがNPO法人を支援するために設けた助成金や補助金も、資金源です。給付金・交付金・委託金など、さまざまな呼び方があります。
いずれも支援団体が認めた活動や事業に対しての一時的な資金提供で、審査があるのが一般的です。近年は申請数が増え、助成金や補助金を受けにくい傾向があるともいわれています。
助成金や補助金は返済する必要はないものの、使途が限られています。また、支援団体によって、応募資格や対象となる活動、支援金額なども異なります。
■事業収入
NPO法人は非営利団体であるため、収益活動をしてはいけないと誤解されがちです。しかし実際には、収益を構成員で分配してはいけないというだけで、収益活動そのものが禁止されているわけではありません。
NPO法人も一般企業と同様に、物品の販売やサービスの提供を通して収入を得られます。提供した労力に対して収入を得ることも可能です。事業収入はNPO法人にとって、安定的に独立して事業を継続させる上で欠かせない、重要な資金源といえるでしょう。
文/編集部