つみたてNISAで資産額を増やしているのはインデックスファンドであるが、アクティブファンドにも投資メリットがあることに改めて目を向けたい。
アクティブファンドとインデックスファンド
インデックスファンドとは、日経平均、TOPX、S&Pなどの株価指数に連動させる投資信託のことをいう。投資方法は連動させる指数と同じ投資先と配分にすればよいため、投資先の調査等が不要で、その分コストが低く済む。投資先は連動させる株価指数によるが、TOPIXは約2,000銘柄、S&Pは500銘柄とかなり多くの銘柄数に投資しているため、市場全体をカバーすることができる。また、1銘柄に0.01~1%程度の配分までしか投資していないため、1企業に何か問題が起きたとしても、その企業に左右されて大きく下げるというリスクは低い。
一方、アクティブファンドは、ファンドマネージャーやアナリストが市場分析、企業分析等を行い、関連する指数を上回る運用成績を目指す。分析方法としては、主に以下がある。
■分析方法
・ボトムアップ・アプローチ
個別企業を1社ずつ分析して、銘柄選択していく方法。銘柄選択の基準として、本来の価値より割安となっているバリュー株に投資する場合と、成長しているグロース株に投資する場合とに大きく分けることができる。
バリュー株であれば高配当、大企業などが投資されやすく、グロース株なら赤字でも高成長が期待できる企業やIT企業などが投資されやすい。バリュー株に比べると、グロース株の方が大きな値上がりを期待できるが、その分値下げリスクも大きくなる。
・トップダウン・アプローチ
経済全体の見通しを立てて、マクロの視点で銘柄選択をする方法。
アクティブファンドは、人的、機械的に市場分析、企業分析を行うことから、インデックスファンドよりコストが高くなる。また、インデックスファンドよりも少ない銘柄に大きな比率で投資するため、投資先が伸びればその分大きな利益を得られる。逆に市況が悪くなると、コストは市況が悪くても変わらずかかることから、そのコストが高い分その値下がりも大きくなってしまう。
インデックスファンドが今脚光を浴びている
投資信託の選択先としてインデックスファンドが注目を集めている。2023年7月末時点の純資産残高は、上位5本のうち4本がインデックスファンドとなっている。特に抵コストで米国市場に投資できる「eMAXIS Slim 米国株式(S&P)」は6ヵ月連続首位となっている。
昔はほとんどがアクティブファンドだった。投資信託の販売の主は窓口販売で、コストの高いアクティブ型ファンドは販売手数料や定期的に収入となる信託報酬が高いことから、優先して販売されていた。
ネット証券が台頭した最近では、低コストでコツコツ積立できるインデックスファンドが脚光を浴びるようになってきた。また、利益が非課税となるつみたてNISAでは、投資できる投資信託が低コストで買付手数料無料、信託期限が無期限で、中長期投資に適したものに限定されているため、必然的に投資対象がほとんどインデックスファンドとなっている。
インデックスファンドの純資産残高に占める比率は2012年には10%にも満たなかったが、2022年末には25%と2倍以上となった。
アクティブファンドはインデックスファンドよりコストが高いことから、相場状況が悪くてもコストは一定率で引かれるため、相場状況が悪いときにインデックスファンドより運用成績が悪くなってしまう。そのため、中長期投資には、コストの低いインデックスファンドが向いているといえる。そして、アクティブファンドのコストは年率1~3%とインデックスファンドの0.05~0.15%に比べて非常に高いため、アクティブファンドが平均的にインデックスファンドより1~3%以上上回る運用成績を出す必要がある。