空飛ぶクルマの社会実装に向けて、すでにいくつかの自治体は導入の準備を進めている。空飛ぶクルマは一般的な航空機と比べて低コストでラクに短距離・中距離を移動できるといわれている。そのため、観光、地方都市間交通、救命救急など様々な用途での活用が期待されているが、離発着場の整備や飛行ルートの設定などが不可欠だ。そのため、旗振り役としての自治体の存在が重要になるのだ。商用化準備を進める県・自治体から、導入の目的、道筋、課題を聞いた。
東京都
民間4社の提案を採択!飛行実証は来年の予定
NTTコミュニケーションズなど4社が提案した取り組みが採択され、2024年に中央防波堤エリアで、大型無人機による約200kgの物流輸送の飛行実証を予定。関係省庁の承認を得たのち、有人機を活用した輸送飛行実証に移る。
都は飛行実証のフィールドを提供。機体はドイツ・ボロコプター社の大型無人機「VoloDrone」、有人機「VoloCity」が使われる。
石川県加賀市×兼松
新幹線延伸のW効果で北陸観光のハブ化を推進
市内の移動、北陸の観光地など市外への移動に空飛ぶクルマを想定する。2021年12月、兼松と空飛ぶクルマ・ドローンを用いた地方創生の実現に向けて包括連携協定を締結。2023年3月に血液配送の実証実験を行なった。
デジタルカレッジKAGAがパラモーターを使い、市内上空を有人飛行。空飛ぶクルマの地上設備設置やルート設置の課題を検証した。
三重県
地域課題解決や新ビジネス創出を目的に活用
民間企業と実用化に向けた連携協定を締結するなど、官民連携した取り組みが特徴。県内に空港、新幹線駅がないことから導入メリットは多い。例えばセントレアから伊勢志摩地域などに直線移動が可能となれば、大幅な時間短縮につながる。
観光産業での新たな価値の創出、生活不便地の利便性向上といった課題解決や、民間による県内でのビジネス創出なども目的に。