「アンプ」というものを知らない若者は少なくないはずだ。
これは筆者自身がとある音響機器メーカーの技術者から聞いたことで、もはやアンプ自体がイヤホンやヘッドホン、スピーカーと一体化されているため今時の若者はわざわざアンプ単体を買おうとはしない。そもそも、アンプの役割自体を知っている者が少ない。
しかし、いや、だからこそアンプには復権のチャンスがある。
今回は低価格の音響機器で知られるEarFunのポータブルアンプ『UA 100』と、有線イヤホン『EH 100』の製品試用の機会に恵まれたので、早速使ってみたい。
アンプの効果
何でもかんでもワイヤレスの時代、なぜ有線イヤホンか。
有線式の利点として、無線式にありがちな速度遅延が殆どないというのがひとつ。そして拡張性があるというのがひとつ。今回解説するポータブルアンプ『UA 100』も、有線イヤホンに対する拡張製品である。
どちらを先に解説しようか悩んでいるところだが、まずは『UA 100』について。
このポータブルアンプは3.5mmシングルエンド、4.4mmバランスケーブルに対応。アンプチップRT6863を2基搭載し、バランスアウトでは最大195mWという大出力……とPR TIMESで配信したプレスリリースには記載されているのだが、これが結果的にどのような効果をもたらすのか全く想像できない人のほうが多いだろう。
一言で言うと、隠れていた音が聞こえるようになる。
ベース音は、まさに「隠れている音」である。いや、本当は隠れてはいないのだが、貧弱なスピーカーではそれが表現されることはあまりない。また、音というのは本来立体的なもののはずで、あたかも1枚の画用紙に描かれたかのようなサウンドになってしまうのはやはりおかしい。
しかし、『UA 100』をイヤホンに装着することで音の立体感が表現される。ジャズやオーケストラを聴けばよく分かることで、パーカッションや低音楽器の音が恐ろしく豊かに広がる。
@DIMEは文章主体のメディアだから、「アンプで聴く音」などということを書き表すのは筆者には難しい。が、携帯性に優れたポータブルアンプを介することで「あっ、この曲にはこんなベース音があったんだ!?」という発見ができるようになることは言及しておかなければならない。