初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【雑談力を一生もののスキルに育てるコツ】「自分エピソード」をつくっておく
雑談で、相手の印象に残りやすい話には、2つのパターンがあります。
これは私がこれまで多くの人と雑談をする中で見つけた分類なんですが、たいていの印象深い話は、この2つのどちらかに入ります。
ひとつは、「面白い話」。
思い切り笑わせてくれて、聞き終わったあとに「ああ、楽しかった!」という印象を残してくれる。みなさんも、そういう話を聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
ただし、これはかなりの上級テクニックが必要な方法なので、ここでは触れないでおきます。
もうひとつの方法は、ハードルが低く、再現性のある話です。
それは、「いい話」です。
こちらは、コツさえつかめば、雑談が苦手な人でもできます。
「いい話」をするためにはどんなテーマを設定したらいいか。私が考える、いい話につながるエピソードベスト3を発表します!
1位 その人の人となりがわかる「生い立ちエピソード」
2位 大変な経験からの学びがある「失敗談エピソード」
3位 その人の人生の岐路となった「マジ話エピソード」
人の気持ちが動くのは、ドラマを感じるストーリーがあるときです。
ドラマといっても、テレビの中で俳優たちが演じているフィクションではありません。あなた自身の体験談です。そこに、ドラマ(劇的な出来事)を発見するのです。
でも、そういう「いい話」ができるようになるためには、ちょっとひと手間必要です。
おすすめは、今の自分を形づくったエピソードのメモをあらかじめつくっておくこと。
その方法を紹介します。
■「エピソード自分史」をつくる
「まずは、自分史を語れるようになろう」
これは私が、就活を迎えた学生に必ず言う話です。20歳の学生なら、20年分の自分史。あなたがもし33歳ならば、33年分の自分史をつくります。
自分史をつくる方法でおすすめなのが、「エピソードメモ」です。
また、メモです。でも、大事なのでやってみてください。メモは、何かをインプットするときに欠かせない要素ですよね。
具体的に書き方を紹介します。
[「エピソードメモ」の書き方]
(1)A5判のノートの見開きを、ひとつの単位と考えてつくります(ほかのサイズのノートでも大丈夫ですが、私はA5判がおすすめです)。
はじめに、左ページの上に、0歳と書きます。右ページの上には、あなたの生まれた年号を書きましょう。
たとえば、西暦1990年なら、左ページに0歳、右ページに1990年と書きます。
(2)次に、年号を書いた右ページに、その年にあった世の中の出来事を書いていきます。
主な出来事は、スマホで年号を入れて検索すれば、すぐに調べられます。
たとえば、2019年があなたが29歳のときだったとします。
この年は、令和が始まり、日本でラグビーワールドカップが開催されました。
消費税が10%に値上げ、イチローが引退したのもこの年でした。
その1年を思い出しながら、自分で面白いと思う出来事を10個ほど拾います。
(3)次は左ページです。
このページに書くときは、右ページに書いた年のあなたに戻ります。当時の自分に戻って、思い出せること、印象的だった出来事などを書いていく。
参考までに、「思い出すことリスト」をあげておきます。
● 心に残ったイベントはなんだったか
● 日々、どんなことを考えていたか。悩みはあったか
● 誰と仲がよかったか。何をしたときが楽しかったか
● 好きな人はいたか。どんな気持ちで接したか
● うまくいったこと、失敗したことはなんだったか
● 好きだった音楽、感動したマンガはなんだったろう
思いつくだけ書いていく。当時の自分に戻るのが狙いです。
こうして、自分の年齢と生きた時代をつぶさに振り返っていくと、思わぬ発見があるものです。
「あぁ、あのときの友だちのひと言で、自分は立ち直ることができたんだ」
「あのとき、熱中したゲームが、私がこの仕事を選んだ原点だった」
あなたの過去の中に、あなたにしか語れない話のネタが眠っているはずです。
一度にエピソードメモを完成させる必要はありません。
少しずつ書き足していけばOKです。
また、昔住んでいた場所や、通っていた学校に行ってみると、いろいろなことが思い出されるはずです。
あなたのどんな過去も、ネタになるはずです。エピソードメモをつけてみましょう。
〈ポイント〉
エピソードメモで自分の歴史を整理すると、あなたにしか話せないネタが見つかる。
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。