安全なソフトウェアを開発、拡張、提供するためにAIを搭載した世界最大の開発者プラットフォームを提供するGitHubは、2023年11月8日に年次イベント「GitHub Universe 2023」をサンフランシスコで開催した。
本イベント初日の基調講演でGitHub CEOのトーマス・ドムケ氏は、GitHub Copilot Chatの一般提供(GA)の開始、新たなGitHub Copilot Enterpriseのプレビュー、AIを駆使した新しいセキュリティ機能、およびGitHub Copilotパートナープログラムを発表した。
壇上でドムケ氏は次のように述べた。
「GitHubがGitという仕組み上に構築されたように、GitHub Copilotの誕生によって、ソフトウェア開発の世界が『再構築』されました。オープンソースとGitは、ソフトウェアの開発方法を根本的に変えました。AIが同じような大変革を、しかも指数関数的なスピードでもたらしつつあることは、今や明らかです。わずかな期間で、GitHub CopilotはGitHubを世界有数の『AI搭載開発者プラットフォーム』へと拡大・進化させました」
今回の発表に先立つ本年3月、ソフトウェア開発の全てのステップにおいてAIを活用して、開発者の生産性を根本的に再定義し、開発者体験の向上を目指すビジョンである「GitHub Copilot X」についても公表している。
ドムケ氏は、さらにこのように続けた。
「ソフトウェアが欠かせない世界において、GitHubプラットフォームの基盤となるこの変革、そしてソフトウェア開発の全く新しい手法が必要だと確信しています。世界中の開発者は毎日、過去のレガシーコードをモダナイズしつつ、デジタルの未来を構築するという、両立が難しい二つの要求にバランスを取りつつ応えています。
クリエイティブな閃きからのコミットやPull Request、さらにはコードレビュー、デプロイまで、開発者がすべてを簡単に行なえるようにするためには、GitHub Copilot を開発者体験に深く統合させることが、私たちの指針となる信念です」
2023年12月よりGitHub Copilot Chat を一般提供(GA)
コーディングはソフトウェア開発ライフサイクルの中心だ。GitHub Copilot Chat は、地球上のすべての開発者のために自然言語を新しい普遍的なプログラミング言語とすることができるという。
同社では」エラーの発見、単体テストの記述、コードのデバッグの支援など、Copilot Chat はあらゆる場面で「AIの相棒」となり、どの言語圏においてもコードを記述し、理解できるように支援します」と説明している。
Copilot Chatは2023年12月に、既存のGitHub Copilotプランの一部として、organizationおよび個人ユーザーに対して一般提供される予定だ。加えて、認証済みの教師、学生、人気のオープンソースプロジェクトのメンテナーにも無償で提供される。
■GitHub Copilot Chatはより利用しやすく、よりパワフルに
・GPT-4がCopilot Chatを強化
OpenAIのGPT-4モデルにより、より正確なコード提案と説明が提供され、Copilot Chatの体験をアップグレードされた。
・コードを意識したガイダンスとコード生成
コードをコンテキストとして使用し、複雑な概念の説明、開いているファイルやウィンドウに基づくコードの提案、セキュリティ脆弱性の検出、コード、ターミナル、デバッガでのエラーの検出と修正の支援を行なうことができる。
・インラインで特定の行についてのチャット
新しいインラインCopilot Chatを使用すると、開発者はコードとエディタのフロー内で直接、コードの特定の行についてチャットできる。
・スラッシュコマンドで大きな作業を短縮
スラッシュコマンドとコンテキスト変数を導入。コードの修正や改良は /fix と入力するだけで、テストの生成は /tests と入力するだけだ。
・クリックするだけでAIの力を適用
スマートアクションは、提案やPull Requestのレビュー内容を修正したり、コミットやPull Requestに生成されたレスポンスを使うことによるスピードアップなど、クリックするだけでワークフローを強力に短縮する。
・JetBrainsへのCopilot Chatの導入
ユーザーの要望に応えて、JetBrainsのIDE スイートに導入され、プレビュー版の利用が可能になった。