初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【今すぐ雑談がラクになる簡単テクニック】「え〜」「あの〜」というクセをなくす方法
話す前に「え〜」「あ〜」「あの〜」と言ってしまう。
もし、あなたにこのクセがあるなら、すぐにそのクセをなくす方法があります。
ちなみに、「え〜」「あ〜」「あの〜」と言ってしまうクセは、自分では気づいてないケースもあるようです。
「自覚はなかったけれど、自分がしゃべっている音声を聞いたら、いつも『え〜』と言ってから話していた。聞き苦しくて、人前で話すのが嫌になりました」
そういう話もよく聞きます。
自分の話し方を聞いて、思わぬクセを見つけて落ち込んでしまう人もいるようです。
「え〜」や「あの〜」という前置き語のことを「フィラー」と呼びます。
「フィラー」とは、詰めもの、埋め草、つなぎという意味です。
つまり、次の言葉がすぐに出てこないので、そのつなぎとして声を発してしまうのです。
政治家やスポーツ選手のように、人前で話す機会が多い人でも、フィラーがクセになっている人がいます。
特に、人から質問を受けて、すぐに答えられないときに「え〜」と言ってしまうのが見受けられます。
ただ、最初に言っておきますが、本人の気持ちはともかく、雑談では「え〜」「あの〜」「その〜」「えっと〜」など、フィラーをつけてもまったく問題ないと思います。雑談には決まった型がない。それが雑談のいいところですから。
ただ、ひとつだけ、気にしたほうがいいことがあります。
それは、「え~」とか「あの~」を連呼してしまうと、自信がなさそうに聞こえてしまうことです。
ですので、たとえ「え~」「あの~」がクセになっていても、自分は楽しく、堂々と話ができているという人は、気にせず、フィラーを使えばいいと思います。
一方、自分に自信がない人は、フィラーをなくしてもいいのではないでしょうか。
何より、改善方法が簡単なので。
ちなみに、フィラーをなくして、話し方に自信がついたという人も多数います。
■「え~」「あの~」が多い人の顔の特徴
フィラーが多い人は、なんと、顔に特徴があります。
話す前に、口を開けているのです。
「この人、『え~』と、よく言うなぁ」と思う人を見かけたら、口元を見てください。話す前に、口が開いていることが多いはずです。
相手に対して、
「何か答えなければいけない」
「間をつくってはいけない」
という思いが先走り、思わず口をぽかんと開けてしまうのです。
まだ言葉が練れてないうちに、何かを発言しようとするから、つなぎ言葉として「え〜」「あの〜」が、開いた口から漏れてしまう。
無意識でやっているので、自分では気づきにくいものなのです。
自分はどうかは、動画を録ってチェックしてみてください。誰かとの会話を録画してみる。まずは自分の状態をチェックです。
■吐く息の上に乗せるのは「言葉」
お待たせしました、フィラーが出ないようにするための脱フィラーの方法を3つご紹介します。
(1) 話す前に口を閉じる
(2) 話す前に息を吸う
(3) 話す前に唾を飲み込む
いずれも口から息と声が漏れるのを防ぐ方法です。
(1)と(2)は、軽症の場合の対策。日頃から声を発する前に口を閉じることを意識してください。
(3)は、私が小学生の話し方教室で教えている方法ですが、大人でも有効です。
唾を飲むことによって、話に間が生まれ、ゆっくり話す力が身につきます。
自分に合った方法を試してください。
フィラーがなくなれば、あなたの話は格段と明瞭になります。
同時に、話すことに少しずつ自信を持てると思います。
〈ポイント〉
「え〜」「あの〜」が出ないよう、口を閉じる、息を吸う、唾を飲み込むのいずれかをしてから話しはじめる。
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。