初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【今すぐ雑談がラクになる簡単テクニック】覚えておきたい「鉄板リアクション」11選
雑談を盛り上げる一番簡単な方法、それが「リアクション」です。
話しているほうは、相手がいいリアクションをしてくれれば、「自分の話を、喜んで聞いてくれている」という実感が持てますよね。
テレビ番組で、タイミングよくリアクションする芸人が重宝されるのは、それが番組を盛り上げることになるからですが、雑談が盛り上がるのと同じ理由です。
それくらい、リアクションは大切な要素なんです。
でも、雑談が苦手な人の中には、リアクションするのが難しいという人も多いですよね。
● あいづちを打つタイミングがわからない
● 相手の話に、頷くだけで終わってしまう
●「うん」とか「そうなんだ」とか、単調な返事に終始してしまう
などなど、悩みは尽きません。
そんなあなたに、使い勝手のいい「鉄板リアクション」をお教えします。
ここで紹介するリアクション11選は、とにかく覚えておくと、とっさのときに使えるので、ぜひインプットしておいてください。
■鉄板リアクション「あ行」と「す」からはじまる言葉
ちなみに、リアクションのバリエーションが少ないと、相手に「ちゃんと聞いてないんじゃないか」と思われてしまうリスクがあります。
たとえば、「なるほど」「そうですね」だけを連呼する。
相手の意見に同意したりするときに「はいはいはいはい……」と「はい」を連呼するパターンも、それに当てはまります。
では、どのようなリアクションが効果的なのでしょうか。
それが「あ行」リアクションと「す」のリアクションです。
「あ行」リアクションとは、次のものです。
1 ありがとう!
2 いいね!
3 うまいね!
4 えらい!
5 おかげさまで!
「あ行」には、人に共感する言葉、感謝や尊敬を示す言葉が集中しています。
「す」のリアクションとは、次のものです。
6 すごい!
7 すてき!
8 すき!
9 するどい!
10 すばらしい!
「す」からはじまる言葉には、初めてのものを見聞きしたときの、新鮮な驚きを好意的に伝える言葉が集まっています。
こんな感じに使ってみましょう。
●「今日のネクタイいいですね」→「ありがとう! お気に入りなんだ」
●「これ、新しく買った時計なんです」→「へぇー、いいね!」
●「禁煙して、やっと1カ月だよ」→「すごいじゃないですか!」
●「今日はお弁当をつくってきたんです」→「おお、すばらしい!」
相手の発言に対し、「あ行」「す」のさまざまなリアクションを返す。
10の鉄板リアクションが、雑談を盛り上げてくれるはずです。
最初から全部覚える必要はないので、まず、自分が試しやすいものをいくつか試してください。
■「なるほど」も言い方次第
リアクションでつい多用してしまう「なるほど」という言葉。
実は、これが、紹介する11個目のリアクション。
これは本来、目上の人が評価するときに使う言葉でした。
だから、下手に使うと、相手を小馬鹿にしている印象を与えてしまうリスクもあります。
「なるほど」を使って相手の共感を得るには、「なるほど」を感嘆詞として使うことです。
つまり、「へぇー!」「ほぉー!」「ふーん!」と、あなたの心が動いたときに、こう使います。
「なるほど! そういうことだったんですね」
「なるほど! それはいけますね」
「なるほど! 夜は焼肉ですか」
と、何に「なるほど」と感嘆しているかということまで、しっかりつけてリアクションすると、より相手に気持ちが伝わります。
ただ「なるほど」だけを多用すると、適当に返事をしているように聞こえてしまうことも。
「なるほど」のあとに、気の利いた言葉が出てこない場合は、気持ちを添えればいいのです。
たとえば、
「なるほど! びっくりです」
「なるほど! 面白い」
「なるほど! 美味しそう」
これで、立派なリアクションになります。
雑談の上手い人の多くは、「リアクション」が上手いのです。
話題を提供しているわけでもなく、人の話にリアクションで花を添えているだけなのに、それが、場のいい空気をつくっていく。そんな人、いますよね。
まずは、お試し。「あ行」「す」という鉄板リアクションから使ってみて、効果を感じてください。
〈ポイント〉
「あ行」「す」からはじまる言葉と「なるほど」+感嘆詞でリアクションをする。
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。