初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【今すぐ雑談がラクになる簡単テクニック】相手のポジティブポイントを発見する
雑談上手な知人が、雑談の秘けつとして、こんなことを言っていました。
「相手のいいところを3つ以上見つけると、話はうまく回り出す」
おぉー、名言!
「自分から話しかけたい。でも、とっかかりに何を言ったらいいかわからない」
そんなふうに考えているあなたにお届けしたい言葉です。
雑談が上手くできないと悩んでいる人の中には、「上手に話せなかったらどうしよう?」「相手に嫌われたらどうしよう?」という不安な気持ちが大きくなり、積極的に話しかけられない人も多いと思います。
もしかしたら、相手を不快にさせてしまうのではないか。
つまんないから、早く話を切り上げたいとか思われないか。
なんて、マイナスな思いがふつふつと湧いてきます。
また、ネット上で知り合って、スマホで会話を交わしたあとで、リアルに会う機会も増えていることで、新しい悩みも発生しているようです。
ネット上で形成されたイメージと、リアルの自分のギャップで、相手が失望したらどうしようと不安になるという話をよく聞きます。
「相手に嫌われたくない」
「相手を失望させたくない」
こういった悩みを、なぜ抱えてしまうのか。
そのひとつの原因が、相手から自分にマイナス評価がくだされることを前提に考えてしまっているからです。
その考えの根っこには、人間関係を「減点法」で考えてしまっていることがあるかもしれません。
自分に対しても相手に対しても、よいところよりも悪いところに目がいっていませんか。
これで人間関係をつくっていくと、つらいと思います。
相手と会えば会うほど、相手の嫌なところに目がいき、心の距離はかえって広がるばかりです。
しかし、自分ではダメダメだと思っていても、向き合っている相手は、そう思っていないかもしれません。
そもそも人は、強みだけでなく、弱みに対しても、共感や好意を抱くことも多々あります。
自分が相手を見るときも、その人と仲良くなりたい、いい関係を築きたいと思ったら、減点法では難しいですよね。
対人関係は「加点法」で見る!
出会ったときは、相手に対しては「ゼロ」の印象。そこから、どんどん相手のよいところを見つけてあげてください。
たとえば、こんなふうに。
●「おはようございます」と言ったら答えてくれた
● 深々とお辞儀をしてくれた
● 会釈するときの笑顔が素敵!
● シャツの襟をビシッとアイロンがけしている
小さなこと、細かいことでもいいので、たくさんのポジティブポイントを見つけていき、話す相手を加点評価していきましょう。
すると、どんどんその人のことを好きになれるはずです。
■相手の「魅力」に気づいて、ネタにする
では、具体的にどうやってポジティブポイントを見つければよいでしょうか。
人の魅力、それは、他の人と違っている部分に潜んでいます。
まずは、相手を「観察」することなんですが、その際、コツがあります。
それは、相手の「特徴」と「魅力」とを、セットで観察するということです。
たとえば、こんなふうに考えます。
(特徴)高級なボールペンを持っている →(魅力)文具好きでこだわりの人
(特徴)大きなカバンを持っている →(魅力)いざというときの備えがある慎重派
(特徴)薄着だ →(魅力)体が強くて風邪をひかない
(特徴)派手なメガネをかけている →(魅力)自己アピールが上手
「魅力」の部分は、あなたにとっての魅力なので、想像でかまいません。
話の上手い人は、相手をよく観察し、ほかの人との違いを的確に把握する力に長けています。そして、見つけた魅力を、最初のひと言に表現して話しかけているのです。
たとえば、相手が明らかに個性的なメガネをかけていた場合。
「素敵なメガネですねぇ。そういうの、どこで買うんですか? 私もそろそろ、メガネフレームを変えようと思っていて……」
と、特徴的なメガネをネタにして、質問にまでもっていく。
相手はメガネにはこだわりがあるはずですから、悪い気はしないはず。買ったお店を教えてくれるはずです。
■電車やお店の中で「観察グセ」をつける
しかし、最初のうちは、メガネに気づいても、関連する質問までもっていくのは、ハードルが高いかもしれません。
まずは、「人の魅力に敏感になる」練習をしましょう。
電車に乗ったときや、お店の中で、周りの人を見て、
「この人と、ほかの人との違いはなんだろう」
「この人の、こだわりポイントはどこだろう」
と考えてみてください。
正解はありませんから、あなたの気づいたままでよいし、むしろ、想像を交えてでかまいません。
「ほかの人に比べて薄着だな。新しい季節に敏感なんだろうな」
「グリーンの手帳、そういえばシャツもグリーン。好きな色なんだろうな」
と、あれこれ思い巡らす。
人を観察する力をつけると、人に興味を持てるようになる。
くり返し練習していけば、自然と人の個性やこだわりが見えてくるはずです。
この経験を積むと、相手が「あ、そこを突いてきてくれたんだ。うれしいな。そう、そこにこだわってるのよ」と言ってくれるポジティブポイントを、すばやく見つけることができるようになります。
最後に、人のこだわり、魅力を見つけやすいポイントを上の図にまとめました。
電車以外の場所でも役立つものです。
ぜひ、その人のポジティブポイントをたくさん見つけてください。
人の魅力に気がつけるようになれば、雑談力は一段アップします。
〈ポイント〉
ファッションや持ち物など、相手がほかの人と違うところを見つけて、話題にする
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。