初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【今すぐ雑談がラクになる簡単テクニック】「はじめまして」の人とそつなく話すコツ
もし、「あなたは人見知りですか?」という質問をしたら、たぶんほとんどの人が「自分は人見知りです」と答えるんじゃないでしょうか。
そうなんです。人見知りは圧倒的多数派です。
私の周りも、右を見ても、左を見ても、人見知りだらけ。
中には、私から見たら上手にコミュニケーションできていそうな人でも、「自称・人見知り」と言っていたりします。
初対面の人との会話は、なかなかハードルが高いですよね。
「ヤバい、何も思いつかない。ちょっと逃げ出したいかも」
「こっちから話しかけたほうがいいかな、でも話しかけられたくないかな」
「共通の話題があればいいんだけど、お互いないよねぇ」
あの、気まずい空気。お互いのことをよく知らない段階での雑談は、できれば避けたいと思ってしまう行為です。
仕事で懇親会やパーティーに行くと、知らない人と隣り合わせになることがあります。
多いのがビュッフェ形式で、たまたまテーブルに集まった人と語らなければならない。強制的に、そんな状況に追い込まれてしまいます。
もちろん、ほぼ全員が「はじめまして」の状態。
お互いに、相手のことを知らない。そもそも、どこのどなたなのかすら知らないくらいの、浅~い関係の人と話さなければいけない場合、軽いパニックに陥ってしまいますよね。
名刺交換をして、ひとしきりお互いの仕事のことなんかを話したら、ネタ切れはすぐにやってきます。
そうしたら、地獄の沈黙タイム……これは、なんとしても避けたい。
素性もわからない人と話す。長く私もこれが苦手で、料理を手にしてもテーブルに近づきませんでした。
「君子、危うきには近寄らず」なんて、自分を納得させながら。
あまりにつらくて、どうにかしたくて、解決策を編み出しました。「はじめましての人」とそつなく話せるコツです。
■「観察+感情」で話しはじめる
「はじめまして」の人としゃべるのがつらいのは、共通点がないからです。どんな話をしたらいいか、まるでわからない状態です。
でも、実は、共通点はつくれるのです。
私は、次の2つのステップで、共通点を発見しています。
1[観察]一緒にいる空間を観察して、共有できるネタを探す
2[感情]その観察についての、「自分の感想」を述べる
というものです。
ポイントは「空間」です。
たとえば、飲み会で同じテーブルについたなら、こんなふうに……
[観察]隣の席で注文した焼きそば、おいしそうですよ
[感情]あ〜、急にお腹減ってきたなぁ
という感じ。
そのあとに、「中華、よく来るんですか?」とか「注文、もう決めましたか?」などと、相手に質問して、相手にも口を開いてもらいます。
この方法が編み出せたのは、ある人の言葉がきっかけでした。
それを教えてくれたのは、若き政治家です。政治家は、とにかく人とよく会います。はじめましての人とも頻繁に会い、コミュニケーションを図らないといけません。
だから、初対面の人に慣れていると思い、質問しました。
「どうすれば、知らない人と仲良く話すことができるのですか?」
すると、彼はこう教えてくれました。
「同じ釜の飯を食ってる感、を出すことです」
相手も自分も、今この瞬間は、同じ時間と空間を共有しています。これこそ、話のタネにしやすいですよね。
たとえば、「このレストランは内装がおしゃれですね。こういうレストランにはよく行かれますか?」とか、「このスープ、すごく味が深いですね。スープはお好きですか?」とか。
同じ時間と空間で、同じように五感を動かしていることを強調します。
そうすれば、持っている話題がなくても、観察次第でいくらでもネタが出てくるそうです。
「あぁ、話すネタがない。話が続かなくなったらどうしよう」
と悩んだら、深呼吸して周囲を見回してみましょう。
五感のすべてをはたらかせて、周りを観察します。そして、今、自分がどんなことを感じているかを考える。
観察し、感情をつぶやいたあとに、相手に話をふってみる。
話題に行き詰まったら、再び観察して、次の話題を見つける。雑談はそのくり返しで成り立っていきます。
大事なのは、ライブ感です。
今、この瞬間、自分たちが何を共有していて、どう感じているか。
まずは、自分が感じたことを口に出して共有してみてください。
そこを、上手く共有して乗り越えられれば、相手と仲良くなれる。最低でも、お互いの印象がよくなることは間違いありません。
〈ポイント〉
「はじめまして」の人とは、周りを観察して、感じたことを話題にする。
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。