初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【「雑談だめメンタル」をぶっ壊す】ほとんどの人はあなたを嫌いにならない
「あっ、チラッと時計を見た。つまらない話と思われたかも」
「今の返事、そっけなかったな。嫌われたかも」
雑談をしている最中の相手の反応、気になりますよね。
ちょっとした表情やしぐさから妄想して、どんどん不安になっていく。
実際、目の前の相手が自分のことをどう考えているかなんてわからないのに、ついついネガティブに考えてしまう。
雑談が苦手な人、あるあるです。
そんな不安を感じやすい人に、ぜひ伝えたいことがあります。それは、「嫌われないから、安心しなさい!」ということです。
あなたが、相手に対して感じのよささえ保っていれば、そんな簡単にあなたを嫌いだと思わないはずです。そこまで簡単に、人は人を嫌いにならないものです(嫌いになる相当な理由があるときは別ですが)。
だから、相手の気持ちを勝手に想像して、不安になったり、自信をなくすのはやめましょう。好かれているか、嫌われているかなど、そもそもわからないことにエネルギーを割いても、いいことはありません。
わからないことは、「わからない」というままで受け止めておくことです。
私が以前、初めて本を出版したときのことです。
ネット上に書き込まれた本を読んだ人のレビューを読んで、落ち込んだことがありました。
レビューには高評価も多数あったのですが、一部に低評価や批判的なことが書き込まれて、それを読んでしまい、まるで自分のことを全否定されたような気持ちになり、ショックを受けたのです。
そのときに、その本を担当してくれた編集者に言われました。
「ひきたさん、まさか高評価だけつくと思っていませんでした? 高評価だけの本なんてありませんよ。たくさんの人に読んでもらえば、高評価も低評価も、両方つきます。それが健全な評価です」
また、こうも教わりました。
「世の中は、自分に好意的な人は2割。無関心な人が6割。合わない、嫌いな人が2割で構成されています」
これを聞いて、私は目から鱗が落ちました。
下手をすれば、全人類から嫌われたくないと考えていた自分の愚かさに気づかされました。
レビューを書いてくれた人たちは、私のことを嫌ってコメントしたのではなく、私の著書の評価をしてくれただけだった。
私は本を書きましたが、私=本ではないのです。そんな当たり前のことにも気づかされました。
あるとき、私の教える学生がこんなことを書いてきました。
「万人受けするハンバーグですら嫌いな人がいるのに、誰からも好かれる人間なんていない」
名言! まったくその通りです。自分を嫌う人だって、いても当たり前。嫌われる勇気を持たなくてはいけません。
反面、あなたのことを好きでいてくれる人だっているのです。
「すべての人から好かれよう」という十字架を背負わないでください。その十字架はとても重いから。
もし、自分とは合わない、自分を嫌っているかもしれないという人がいたら、そちら側に視点を向けるのではなく、むしろ合う人、好きでいてくれる人のほうに視点を向けたほうがいいと思います。
2:6:2の法則の「自分に批判的な人」はスルー!
これでいいのです。
「あ、この人は、私とは合わない2割の1人だな」と感じたら、ここはポジティブ思考になっていいところ。
「でも、私の味方だって2割もいるし!」と考えて、あなたの心の中から追い出してください。
それができたとき、あなたは、自分の努力で解決できない人間関係を、あなたの人生から切り離すことに成功したのです。
そう考えたら、少し心が軽くなりませんか。
2:6:2の法則の中で、自分とはどうしても合わない2割の人たちのことまで考えているパワーを、残りの8割の人に向けられるようになった。
そうすれば、あなたのことに無関心な6割の中から、あなたのことを好きになってくれる人も出てくるかもしれません。
さらに、あなたのことをもともと好きな人が、もっとあなたを好きになってくれるかも! 同じ力を割くなら、そういう人たちに寄り添いたいと思いませんか。
マイナス感情を自分から切り離すだけで、心の負担は何割か軽くなります。この方法を理解するだけで、少しずつ自分の心が元気になっていくはずです。
〈ポイント〉
すべての人から好かれている人はいない。
あなたのことを好きでいてくれる人のために時間を使おう。
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。