初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【雑談が上手い人が話す前にやっていること】「キラーほめ言葉」を用意すると雑談はグッとラクになる
あなたは、相手をほめることは得意ですか。
「お世辞は嫌い。言いたくない」
「ふだんのキャラと違ってしまうから、言えない」
なんて答えが返ってきそうです。
「謙遜の文化」「本音と建て前の文化」の中で生きてきた日本人は、ほめること、ほめられることが苦手という人も多いようです。
親ですら、我が子を他人の前で表立ってほめたりしませんし、誰かにほめられても自信のなさから、「本当に心の底からほめてくれているのかな?」なんて、相手の言葉を疑ったりしてしまうことも。
しかし、ほめられたほうは、悪い気がしないのも事実。
SNSで「いいね」をもらうとちょっとうれしくなる気持ちにも似て、承認欲求や自己肯定感につながる言葉を言われて悪い気がする人は、あまりいません。
雑談力を上げるには、こうした「ほめ言葉」を口に出せる体質になることが大切です。
そのための、いい方法があります。
それが、「SNSほめ」です。
■SNSで「ほめること」を貫く
あなたはSNSにどんな言葉を並べているでしょうか。
ちょっとした愚痴を書き連ねていたり、誰かをうらやむ気持ちを表現したりしていないでしょうか。裏アカウントで毒を吐いたり、匿名をいいことに、誰かに攻撃的な言葉を向けていませんか。
普段からマイナスな言葉を多用すると、クセになります。それはあなたの思考にも影響し、結果としてリアルの場で好かれない原因になり得ます。
言葉を「匂い」にたとえて説明しましょう。耳心地のいい言葉を「香水の匂い」とし、耳心地の悪い言葉を「汗臭い臭い」とします。
想像してみてください。
人に耳心地のいい言葉を発すれば、あなた自身も香水の匂いを嗅いで気持ちよくなれますね。耳心地の悪い言葉を吐けば、汗の汚臭を自分でも嗅ぐことになる。これは最悪です。
自分が紡いだ言葉を一番よく聞いているのは自分。
それは記名でも匿名でも、裏アカでも同じです。発した言葉の匂いを一番近くで嗅ぐのは自分なのです。
さらに「言霊」という言葉が示すように、あなたの思考を盛り込んで言語化したものは、そのまま現実になりやすい。
ポジティブな言葉を使えば物事は上手くいくようになるし、反対にネガティブな言葉を使えば上手くいかなくなるのです。
ですから、日ごろから、悪い言葉、汚い言葉を吐かないよう努めましょう。
では、具体的にどうしたらいいか。
SNSでは、相手をほめて、喜んでもらえる書き込みをすればいいのです。
「おめでとう!」
「おいしそうです。よかったね」
「大変そうだね。体が心配です」
などとコメントを書き込む。
最低でも「いいね!」の評価をつける。これだけで十分です。
博報堂生活総合研究所の「いいね!」の値段調査によれば、1回の「いいね」の値段は、556円だそうです。それだけの値がつくほど、多くの人が認められたい、ほめられたいと思っているのでしょう。
X(ツイッター)やインスタグラムに、相手の気持ちを思いやる短いコメントを書くことを習慣づけていく。
続けるうちに、こうした言葉を書いたり、語ることがクセになります。
脳が、人をほめたり、共感することを「当たり前」だと思う習慣がつくのです。
習慣になれば、もうこっちのもの。雑談の場でも、同じようにほめ言葉がスラスラと出てくるようになるはずです。
フランスの作家フランソワーズ・サガンは、
「思いやりのある言葉は、たとえ簡単な言葉であっても、ずっとずっと心にこだまする」
と言っています。
まずは、誰かが自分でつくった料理の写真をアップしていたら、「おいしそう」と書き込むくらいで構いません。
バカらしいと思わず、ぜひやってみてください。
続けた先に、これまでとは違ったあなたの姿があるはずです。
〈ポイント〉
みんなほめられたいと思っている。ほめ言葉を伝えるクセをつける。
★ ★ ★
いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。