2月に発売されたばかりにも関わらず、早くもファミマの定番となった『生コッペパン』。このヒットは、地道な市場調査と具材によって2種の生地を替える、開発者のこだわりがあった。
約7か月で累計販売数7000万食突破
ファミリーマート『生コッペパン』シリーズ
138〜238円
パン生地に生クリームを配合することで、しっとりとしていてリッチな食感が特徴。当初は2種だったが、具材次第でラインアップを増やせる強みを生かし、2023年10月2日現在、9種展開。
ファミリーマート
商品本部 FF・スイーツ部 パン・半生菓子グループ マネジャー
鈴木崇義さん
地道な市場調査を行なう中で、100種類以上のパンを試食! 「一見楽しそうですが、なかなかつらい作業だったんです(笑)」
「どの世代が食べてもおいしいコッペパンにしたい」
幅広い層に親しまれているコッペパン。そこに目をつけ、さらにトレンドを取り入れることでヒットさせたのがファミリーマートだ。
「長く愛され続けていますが、世代によってコッペパンに対するイメージに差があることがわかったんです。特にご年配の方は、『パサパサしている』というネガティブなイメージを持っている人が多かったんです。そこで、どの世代の人が食べてもおいしいと思ってもらえる新たなコッペパンの開発をスタートさせました」
まず始めたのがリサーチだ。「どんなパンが流行っているか」という観点でベーカリーを回り、100種類以上のパンを試食。結果、「生ドーナツ」「生フランスパン」など〝生〟を謳った商品が流行っていることに気づいたという。
「このトレンドを再現するため、ベーカリーで用いられる多加水生地とブリオッシュ生地に、生クリームを加える製法を取ることを決めました。この2つを挟む具材によって使い分けることで、独自の味を出せると考えたのです」
生地と具が口の中で溶ける速度を合わせるのも大事だという。
「先に具がなくなって、パンだけになるのはうれしくないもの。そこで菓子系には口溶けのいいブリオッシュ生地、総菜系にはもっちりとした多加水生地を用いることで、その問題を解消しました」
入れる具材次第でラインアップが増やせるのも強み。同社のロングセラー商品となりそうだ。
イチゴジャム&マーガリン(138円)
懐かしさを感じる味を用意。酸味のあるイチゴジャムとマーガリンの塩味の相性は抜群だ。
ダブルピーナッツ(138円)
粒入りピーナツクリームとピーナツホイップをサンド。ザクザクとした食感が楽しい。
あん&バター入りホイップ(138円)
存在感のある粒あんとバターが入ったホイップがぎっしり。和と洋を一度に味わえるのも◎。
たまご(138円)
たっぷりの卵フィリングをサンド。卵の食感を残しつつ酸味をマイルドに仕上げている。
コロッケ&たまご(168円)
ソースで味付けしたコロッケとたまごサラダをサンド。腹持ちも十分なのでランチに最適だ。
焼きそば(168円)
中太麺を使用した濃厚で香ばしい焼きそばをサンド。マヨネーズのトッピングがうれしい。
取材してわかったヒットの要因
1:地道な市場調査
開発メンバーが各地のベーカリーの調査に奔走。「どんなパンが流行っているのか」という観点でパンを選び、写真を撮ったり、重量を計測したりして、様々なデータを取った。
2:トレンドをしっかりキャッチ
生食パンブームから続く、生ドーナツ、生フランスパンといった流行をキャッチ。それを単に踏襲するのではなく、ファミリーマート独自の生食感とすべく、新たな製法も考案した。
3:具材によって生地を使い分ける
挟む具材によって、生クリームを加えた多加水生地、ブリオッシュ生地の2種を使い分けることで、口溶けの速度を調整。最後まで具とパン生地のマリアージュを楽しめるように。
取材・文/編集部
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。