低価格で高機能なウエアを展開するワークマンが、キャンプギア市場にも参入した。中でも話題となったのが4900円のテント。なぜ、ここまで安価にできたのか? その理由を聞いた。
累計4万点以上販売
ワークマン『BASIC ドームテント1人用』
各4900円
サイズ:L215×W104×H98cm 出入り口:H92×W65cm
ドア部:L101×W105×H86cm 収納時:φ13×L55cm、2.5kg
設営が容易なクロスポールタイプの吊り下げ式テント。内部には、収納ポケットやランタン用のフックなど、エントリーモデルとしては十分な基本性能を備える。収納袋付き。
ワークマン
製品開発部第3部 マネジャー
鐡本孝樹さん
鐵本さんが背負っているリュックは『BASICドームテント 1人用』の生地を流用したもの。徹底的に流用するワークマンらしさを感じる。
「他商品の〝機能を流用〟することで低価格を実現しました」
失礼ながら、キャンプギア市場初参入のワークマンが作ったテントは、「大丈夫なの?」と思うのが普通だろう。しかも、価格は4900円だという。
「こうした不安を解消するため、キャンプギアでの取得は珍しいとされる、安全性の基準を満たしていることを認証する〝SGマーク〟を取得しました。当然、それに対応することで、開発はより困難になりました。例えばフライシートを引っ張った時に破れないようにするには、生地の強度を上げる必要が出てきます。すると、必然として生地が厚くなり、重量が増すことに。キャンプギアは軽量性が重視されるもの。安全基準を満たしつつ、軽量性も備える必要があったのです。しかも、安価で!」
この相反するファクターを実現できたのには、2つの秘策があった。「機能の流用」と「閑散期オーダー」だ。
「『機能の流用』とは、すでにワークマンの商品に生かされている機能をそのまま、もしくは一部を流用すること。例えば、レインウエアなどに使われている撥水技術などをテントに応用、縫製もほかの商品に用いた手法を部分的に流用することで、性能の担保とコスト低減を実現しました」
一方、「閑散期オーダー」とは、工場の生産が落ち着く3~4月、9~10月に1年分のキャンプギアを一気に発注する仕組みだ。
「生産計画を立てやすいので、結果、従業員が残業することが少なくなり、人件費も抑えられました」
もちろん細部にもこだわる。キャンプに精通したアンバサダーを登用。彼らの意見を反映し、基本性能を充実させたことで、誰もが満足いくものに仕上げた。本当に使えるかどうかは、試すのが一番。4900円なら、問題ないでしょ!?
付属のキャノピーポールにフライシートを跳ね上げれば、前室を作ることもできる。
インナーテントのベンチレーション。メッシュにすることで風通しと虫除けを兼備させた。
約3000mLの耐水性能を誇る、ポリエステルオックス生地のフロアシートを備える。
取材してわかったヒットの要因
1:低価格に設定
初心者が買いやすいよう、4900円という低価格に設定。キャンプ経験者がセカンドテントとして購入することも想定し、基本性能をしっかり備えた設計にした。
2:アンバサダーと意見交換
3名のアンバサダーの意見を取り入れることで、価格以上の品質を確保した。品質だけでなく、彼らがSNSで発信することで、販促にもつながっている。
3:SGマークの取得
キャンプギア市場への参入が後発であることや店頭で現物を見ることが基本的にできないことから、安全な商品の印ともいえる「SGマーク」を取得した。
取材・文/編集部
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年9月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
2023年のヒット商品120点を総まとめ!DIME電子増刊号がdマガジン、楽天マガジン、Amazon Kindleなどで配信中
11月1日に配信がスタートしたDIME電子増刊号では「2023ヒット商品総まとめ」と題し、この一年のヒット商品を全11ジャンル、12o商品を大特集!
生成系AI、chocoZAP、ポケモンスリープ、ソロ家電、生コッペパン、白湯、無糖ブーム、スマートバスマット、ビオレUVミスト、WBC売れ、ストリートファイター6など2023年を彩ったヒット商品を一挙紹介します。
ほかにも、忙しい年末に仕事の効率アップを目指す「AI仕事術」、働くストレスを軽減させるアイテムを集めた「ウェルビーイングなビジネスギア100」、なぜか毎回人気の「編集部員が選ぶオススメの本&マンガ」の企画も新メンバーが加入し、さらにカオスに。
年末に向けた今年の総決算となる電子増刊は各電子書店やdマガジンなどの雑誌の読み放題サービスで配信中。ぜひダウンロードしてみてください!