初対面の人や苦手な人といっしょにいる時、一瞬の沈黙が妙に長く感じられることはありませんか? 何か会話をしたいけど、何を話していいかわからない。せっかく話しかけてもらっても、うまい返しができなくてすぐに話が切れてしまった。そんな経験がある人は多いと思います。
そのたびに、「あ~、なんて自分はダメなんだ」と自分を責めてきませんでしたか。仕事でも、プライベートでも、世の中は雑談をする機会にあふれています。だから、「雑談が苦手だ」というマインドを持っていると、思いのほか、ストレスを感じることが多くなります。でも、そうした負の感情であなたの心を満たすのは、
今日でおしまいにしましょう。
ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ雑談の技術を身につければよいのです。そんな雑談のテクニックがまとまった書籍『雑談が上手い人が話す前にやっていること』の中から一部を抜粋・編集し、雑談でたくさんモヤモヤを解消するヒントをまとめました。
【雑談力を一生もののスキルに育てるコツ】雑談力の成長は右肩上がりには起こらない
英語を教えている人に、こんな話を聞いたことがあります。
「英語って、ある日突然しゃべれるようになったりするんです」
そんなことがあるのかと思い、詳しく聞いてみると、こういうことだそうです。
「英語の習得は、右肩上がりにできるようになるわけではなく、勉強しても、定期的に階段の踊り場みたいに、成長が止まったように感じる時期があるんです。でも、あきらめずにそこでも努力をしていると、そのあと一気に英語の力が上がったりするんです」
この話を聞いたときに、英語の学習にも成長の法則性が関係していることを知りました。
この、何かしらの努力を続けているにもかかわらず、成果が現れない時期を「プラトー現象」と言います。
特に、スポーツの世界でよく語られる上達のプロセスです。
サッカーでも野球でも、やりはじめたころはぐんぐん上手くなります。この時期は、やればやるほど成長が感じられ、面白くて仕方ないことでしょう。
しかし、ある日突然、成長が止まります。
こうなると、何をやっても上手くできない。どんなに努力をしても、目に見えた効果が現れません。
この、壁にぶち当たった状態を「プラトー」と言います。
「プラトー」とは「高原」のこと。
ずっと右肩上がりで成長してきたのに、突然、横ばいになる。それが、高原のように、果てしなく平らに続いているように思えるのです。
ここで挫折をしてしまう人が多くいます。
やってもやっても成長の実感がないので、つらくなってしまうわけです。
雑談力を向上させる場合も、このプラトー現象が当てはまります。
この本で紹介してきたさまざまな方法を実践してみると、最初のうちは目に見える成果があるかと思いますが、じきに、それ以上の成果が見えにくくなることもあると思います。
そうなってしまうと、そこで、「もう、がんばるのはやめよう」と思うかもしれません。
「もう、努力してもムダだ。誰も私の話にふり向いてくれない。話の輪に入るの、ちっとも楽しくない! 雑談、やっぱりしんどい!」
と、弱音を吐きたくなるかもしれません。
でも、そこであきらめないでください。
この「プラトー」の状態は、「スランプ」とは違います。
「スランプ」は、できたことができなくなることです。
一方で、「プラトー」は、次のことができるようになるための準備期間です。
何かを成し遂げようとするには、一定量の時間と経験を費やさなければなりません。
より飛躍するために、「今は力をためている状態」なのです!
プラトーの間は、どうしてもつらい気持ちが先行し、何度もあきらめたくなったりします。
これは、どんな人にも来るそうです。きっと、大リーガーの大谷翔平選手でも、何度もプラトーを経験しながらも、あきらめずにがんばり続けたからこそ、今の活躍があるはずです。
ここで、がんばりを投げ捨てないことです。「自分はダメだ」とあきらめないことです。
不思議なもので、ある時期を過ぎると、「プラトー」が消えて、その代わりに急激な、右肩上がりの成長の時期が来るのです。
昨日までの絶不調がウソのように、急成長する。
ただ、続けていくと、その後も再び「プラトーな状態」がやってきます。
総じて言うと、勉強でも、スポーツでも、雑談力を身につけることも、何かを達成しようとしたいならば、伸びている時期とプラトーの時期が交互にやってくるのです。
なので、プラトーの存在を知っておくだけで、取り組む意識は大きく変わると思います。
「あ、いまの自分はプラトーなのかもしれない。ここであきらめずに続けていれば、どこかで急成長するはずだ」
そう思えれば、挫折を避けることができますよ。
〈ポイント〉
雑談で上手くいかないことがあってもあきらめない。続けていけば、できるようになるときがきっと来る。
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いかがでしたでしょうか?
初対面でも、苦手な人でも、もう怖くない会話が得意じゃない人でも大丈夫! 本書を読めば苦手な雑談がたのしくなる秘けつを学べるはずです。
以下のような「雑談コンプレックス」を持つ方は是非、書店でチェックしてみてください。
●まずもって、何から話したらいいのかわからない人
●「これを話したらどう思われるだろう?」など、相手の気持ちを考え過ぎて話せない人
●「雑談が上手い人は、話が上手い人」(だから、自分は無理)と思っている人
●雑談で失敗した経験が忘れられず、「自分は話ベタ」と苦手意識を抱えている人
●本やYouTubeで話し方を勉強しているが、なかなかうまくいかない人
●社会人になってから、友人以外と雑談することに苦痛を感じている人
●リモートが増えて人との対話・雑談に苦手意識が増した人、もともと苦手な人
●親しくない人と話すとき、チャットはできても、顔を合わせての会話に自信がない人
●天気の話すらできない、対面だと「最初の一言」を話すのが怖い人
●「傾聴力が大事」と言われ過ぎて、つかれている人
●目的のない会話の仕方がわからなくて、苦手を感じている人
「雑談が上手い人が話す前にやっていること」
著/ひきたよしあき/アスコム
ひきたよしあき
コミュニケーション コンサルタント。
スピーチライター。
大阪芸術大学芸術学部放送学科 客員教授。
早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。
政治、行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動し、幅広い業種・世代の価値観、世代間のギャップ、言葉遣いの違いなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。
また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と学生や社会人から支持を集める。
教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人、朝日学生新聞社「みんなをつなぐ新聞WEB」では、毎回1,200人近い子どもと保護者が参加する人気。
著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)など。