日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手が教えてくれる仕事で成果を上げる秘訣】なんとしてもできるだけ人生の早い時期に「天職」を見つけよう
「天職」という言葉の響きは、とても魅力的であると感じるのは、私だけでしょうか? 大谷選手のように比較的若い時期に天職を発見した人間は、この上なく幸運なのです。天職は、3つの要素により発見できると、私は考えています。
それらは、「好き」「得意」「社会のニーズ」です。
「好き」だけでは、それは到底天職になり得ません。それは趣味にすべきものです。それが「得意」なら、天職になる可能性は高いと言えます。しかし、それが「好き」でなかったら、成功が難しいだけでなく、「やらされる仕事」になって幸福感を得ることなどできず、もちろん成長も期待できません。
大谷選手のように、「得意」に「好き」が伴ったときに、初めてそれは天職になり得るのです。しかし、それだけでも、まだ「天職」とは言えません。なぜならその仕事に「ニーズ」がなければ、職業として成立しないからです。
このことに関して、アメリカのエール大学の心理学者エイミー・レズネスキー教授は、ある予測をして調査を行いました。彼女の予測とは、「魅力的、かつ報酬の多い職業にこそ、それを天職と考えている人々が多いだろう」というものでした。しかし、彼女の予測は見事に覆されました。調査結果は以下の通りでした。
広くあらゆる職業において、「これが私の天職だ!」と考える人たちがいることが判明したのです。銀行員、セールスマン、バスの運転手、料理人、清掃職員、教師等々……。
そして、レズネスキー教授は、「自分の仕事を天職だと考えている人ほど、幸福感を覚えている」という事実も突きとめました。つまり、天職とは職種ではなくそこに働く人たちのその仕事の捉え方に左右されることが判明したのです。
もしもあなたの現在の仕事や未来の仕事において、達成感やワクワク感が感じられないときは、少なくとも、それは天職ではないことは明らかです。そのことについて、大谷選手はこう語っています。
「成果が出ないと面白くないなって感じてる人が多いんじゃないかなと。辛いなと思ってやめたくなるのが人だと思うので、それでも頑張りたいなって思える何かがあるなら、その時点でもう幸せなんじゃないかなと。僕にとってはそれがたまたま野球でしたけど、それが別の仕事の方向に向いているのであれば、それはそれで十二分に幸せなことだなと思います」(『PROSPEX × Shohei Ohtani インタビュー 2023)
あなたにとっての幸福感や充実感は、あなたの外には存在しません。あなたの内面にこそ、幸福感や充実感が存在するのです。大谷選手のように、トレンドに惑わされることなく、「自分軸」で考えて、それを行動に移す習慣を身につければ、あなたにとっての天職候補が頭の中に次々と浮かんでくるはずです。
私の大好きなマーティン・ルーサー・キング牧師の言葉を紹介しましょう。
「掃除人になる運命にあるのなら、ミケランジェロが絵を描くように、ベートーベンが音楽を奏でるように、シェイクスピアが詩を書くように、街路を掃除しなければならない」
もしもあなたの天職がトイレ掃除だと判明したら、あまり気分が良くないかもしれません。しかし、誰よりも綺麗にトイレを掃除することにのめり込むことができたら、トイレ掃除も天職になる可能性があるのです。今何かに挑戦している人に向けて、大谷選手はこう語っています。
「それが好きなことなら、それが一番素晴らしいと、楽しいことじゃないかなと思うので、なるべく好きなまま最後まで終えられたら幸せだと思っているので、僕はそういう風に頑張りたいなと思っていますし、そうじゃない人がいたとしてもその目標に向かってね、時間を割いて、達成できるように頑張ってほしいなと思います」(『PROSPEX × Shohei Ohtani インタビュー 2023)
「やらされる仕事」という感覚ではなく、「自発的にのめり込む仕事」が見つかったら、それがあなたの天職である可能性が高いのです。つまりあなたにとっての天職は世界に一つだけ存在するのではなく、あなたの周囲にいくつも存在する、と考えるべきなのです。そして複数の天職候補が見つかったら、後は「好き」「得意」「社会のニーズ」の3つの視点で一つに絞り込んでください。それが、あなたにとっての天職となるはずです。
この項の最後に、黒澤明監督の言葉を贈りたいと思います。
「自分が本当に好きなものを見つけてください。見つかったら、その大切なもののために努力しなさい。君たちは、努力したい何かを持っているはずだ。きっとそれは、君たちの心のこもった立派な仕事になるでしょう」(映画『まあだだよ』から)
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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