日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手の直感力が彼を偉大なメジャーリーガーに仕立てた】イメージトレーニングの達人になろう
私は現在6名のプロゴルファーのメンタル面のバックアップをしていますが、彼らがもっとも関心を示すテーマの一つが、「イメージトレーニング」です。ゴルフに限らず、すべてのスポーツにおいて、「視覚化」はその選手のパフォーマンスを大きく左右する重要なスキルです。
大谷選手はたとえオフの日でも、暇さえあれば自分だけでなく他の選手のスイングや投球フォームの映像を観賞する習慣を身につけています。それだけでなく、その映像で気づいたことをすぐに実行に移す心の準備ができているのです。このことに関して、彼はこう語っています。
「試してみてダメだったらダメでいいと思うんです。こっちのほうがいいな、やっぱり違うなと、またそこで思えるので。八割が『やっぱり違うな』と思うときなんですけど、『いいな』と思うことが一割か二割あります。そのなかの0・5%ぐらいの割合で、本当にイメージがヒットすることがあります」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
脳の保有するイメージ機能を駆使すれば、スポーツだけでなく、ビジネスにおいても大きな武器になるのです。
アメリカのある大学のバスケットボールチームの実験結果があります。グループを3つに分けて20日間フリースローに関する実験が行われました。実験直後にスコアを比較しました。
まず、グループAは、実際に20日間フリースローの練習をひたすら行いました。次にグループBはまったく練習を行いませんでした。そしてグループCは、毎日30分自分がフリースローをしているシーンのイメージを描くトレーニングを20日間行いました。
結果を以下に示します。
グループAは、フリースローの成功率が24%向上しました。
グループBは、まったく進歩が認められませんでした。
グループCは、フリースローの成功率が23%向上しました。
このデータから、イメージトレーニングは実際の練習とほぼ同じ効果があることが証明されたのです。
バッターボックスに入った大谷選手は、ピッチャーの投げるボールが彼の手から離れた瞬間、その軌道を脳裏でイメージして、バットを振るか振らないかを決断します。その予測イメージの精度が他の選手よりも優れているから、ホームランを量産できるのです。
あるいは、彼がピッチャーとしてマウンドに立つときは、これから投げる球種を決定して、脳裏にその軌道をイメージした後は、実際にその軌道を描くようにボールを投げる作業に集中します。
イメージトレーニングはスポーツ界のみのスキルではありません。ビジネスや勉強においても、素晴らしいパフォーマンスを発揮できる人たちは、「イメージ能力」に長けているのです。
一流のセールスマンは、大事な商談で顧客を説得するために、想定問答を作成して頭の中でリハーサルを綿密に行った後、実際の商談に入るから成約率が高まるのです。
新商品の開発担当のビジネスマンの脳裏には、常に新商品のアイデアが渦巻いています。そしてそれらを片っ端から形にするという試作の作業を行います。
イメージすることに無頓着な人たちは、偶然に頼るしかありません。一方、成功者たちは、暇さえあれば想像力を働かせて斬新なアイデアを生み出すから、高い確率で、しかも着実に成果を上げることができるのです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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