日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手の直感力が彼を偉大なメジャーリーガーに仕立てた】大谷選手のような天才に共通する性格とは何か?
この本の別のところで触れていますが、大谷選手が超一流のメジャーリーガーの仲間入りができた大きな要因は「好奇心」であると私は考えています。いくら才能を持ってこの世に生まれてきても、それだけで偉業を成せるわけではありません。
好奇心こそ、潜在能力を開花させるための源泉です。脳の成功回路を形成するには、好奇心が不可欠なのです。このことについて、大谷選手はこう語っています。
「野球が頭から離れることはないです。オフに入っても常に練習していますもん。休みたいとも思いません。ダルビッシュさんからアドバイスをもらったりしますが、一人でああだこうだ考えながらトレーニングすることが好きで、それまでできなかったことができるようになるのが楽しいんです。そういう姿勢は高校時代と変わりません」(『雑誌AERA2017・1・16号』朝日新聞出版)
1年365日24時間、自分が得意とする分野について思索し続ける粘り強さ、これこそが好奇心の正体です。実は、多くの人たちが誤解していることがあります。それは、思索するためには脳を意識的に酷使しなければならないという考えです。
実は、何も考えていないようなボーッとしている状態のときにこそ、斬新なアイデアが出てくるのです。
この状態を脳科学の専門用語では「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」と呼んでいます。DMNとは、脳が意識的な活動をしていないとき、つまり、ぼんやりしているときに活性化する神経回路です(図表11)。
DMNが働いているとき、特に脳の「内側前頭前野」「後帯状皮質」「楔前部」
「下頭頂小葉」といった領域が活性化しています。たとえば、散歩しているときや、コーヒーを飲んで一息ついているとき、シャワーを浴びているときなどに、DMNは働いています。逆に、何か目の前の作業に没頭しているときは、DMNは働いていないのです。
DMNは、自動車の「アイドリング状態」にたとえられます。車のエンジンを完全に切ってしまうと、再び発車させるのに時間がかかりますが、アイドリング状態ならアクセルを踏むだけですぐに発車できます。
実は、DMNが正常に働いているときには、脳内の情報が整理されているため、それらが結びつきやすい状態になっているから、新しいアイデアが生まれやすいと言えます。
言い換えれば、スマホでの情報収集に夢中になっている現代人は、脳のひらめきをどんどん遠ざけてしまっているのです。
大谷選手のような一握りの一流の人たちの共通点は、DMNの状態を自発的につくり出して、とことんテーマについて思索し続けられること。
もちろん、思索するだけではなく、それを着実に行動に移すわけです。DMNのもとになっているのは、結局は好奇心です。大谷選手はこう語っています。
「例えば打てなくても、どうすれば打てるようになるのかなと考えて、何かを思いついて、じゃあ、やってみようってグラウンドに行く。その一歩目が楽しいんです」(『不可能を可能にする大谷翔平120 の思考』ぴあ)
自らDMNをつくり出して、ひらめきを生み出し、そのひらめいたことを行動に移して結果を待つ。そして、その結果から新たなひらめきが生まれ、次の行動につなげていく。その繰り返しこそ、驚くべき速度で彼を進化させた原動力なのです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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