日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手の直感力が彼を偉大なメジャーリーガーに仕立てた】「論理」と「直感」が対立したら迷うことなく「直感」に頼ろう
あるとき、大谷選手はこう語っています。
「野球に関しては、それがとてつもなく楽しかったので、今まで続いているんでしょうね。算数が好きで得意だったら、数学者になればいいんです。僕の場合は、たまたま野球だったんです」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
もしもあなたの中で論理と直感が対立したら、迷うことなく「直感」を優先して人生設計を立ててください。
直感に頼れば、論理で考えるよりリスクは生じます。しかし、それでも自分の直感に従って決断したほうが、正解である確率が高いのです。また、心からの決断であれば、たとえうまくいかなくても後悔がないはずです。
大谷選手は人生の中での大事はすべて直感に頼って決断してきたように私は感じます。直感と論理による決断に関して、ドイツのマックスプランク研究所は、「直感は意志決定力の速度を速めるだけでなく、状況によって論理思考よりも正確な将来予測を可能にする」という研究結果を発表しています。
今や認知科学研究の世界では、「過多な情報分析に頼り過ぎると未来予測を見誤る確率が高い」という結論が出ているのです。
つまり、情報は特定の少ないものに留めて直感を働かせたほうが、正確な将来予測と意志決定ができるのです。
この世の中のすべては、「過剰なもの」と「稀少価値のあるもの」に分類できます。「過剰なもの」の多くが「論理と理性」によって生まれているのに対して、ほとんどの「稀少なもの」は「直感と感性」によって生み出されています。大谷選手のように、「稀少価値のあるもの」に挑むことが、大きな成果を生むのです。
直感の正体について、将棋界におけるレジェンド、羽生善治九段は自らの著書でこう語っています。
「直感は、本当に何もないところから湧き出てくるわけではない。考えて、考えて、あれこれ模索した経験を前提として蓄積させておかねばならない。また、経験から直感を導き出す訓練を、日常生活の中でも行う必要がある。もがき、努力したすべての経験をいわば土壌として、そこからある瞬間、生み出されるものが直感なのだ」(『直感力』PHP 新書)
特に自分の専門分野でのひらめきは重視すべきです。
それでは、ひらめきはどんな場所で生まれてくるのでしょう。昔から、「創造性の4B」という教えが存在します。
図表10のように、アイデアは、「Bathroom(風呂場、トイレ)」「Bus(乗り物、移動中)」「Bed(寝室)」「Bar(お酒を飲むところ)」といった場所で生まれやすいのです。4Bを活用することにより、あなたは間違いなく「ひらめきの達人」になれるはずです。
直感を先天的なものと決めつけてはいけません。テーマを決めて自由奔放にアイデアを出すことを習慣化させれば、あなたも大谷選手のように、直感が次々に湧き上がってくるのです。
「直感はひらめき」という言葉にもあるように、瞬時に脳裏に浮かび上がるもの。
バッターボックスに立った大谷選手は、ピッチャーの投げるボールが彼の手から離れた瞬間、バットを振るか振らないかの決断を瞬時にしなければなりません。考えている暇はないのです。
経験豊富な分野での直感を積み重ねることにより、あなたの直感から次々と斬新なアイデアが生まれてくるはずです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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