日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手の成功思考の秘訣を教えよう】これがポジティブ思考の重要性
ポジティブに物事を考えるスキルが大谷選手の成功を支えています。大谷選手の以下の言葉がそれを私たちにわかりやすく教えてくれます。
「バッターは3割を打ってすごいと言われますけど、やっぱり一度のミスもなく打率10割のときに100%と思えるんじゃないですかね」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
ほかのバッターなら3割打てば満足するところを大谷選手が満足しない理由が、この言葉から読みとれるのです。つまり、ポジティブ思考とは、大谷選手のように、高い志を持って中途半端なことで妥協しないことなのです。
普段からポジティブな情報を頭の中に叩き込んでおけば、自信が満たされることによって、いいスパイラルが起こるのです。
自動車の運転では、ポジティブな意識よりもネガティブな意識を持つことが求められます。なぜなら、運転中は、いつ飛び出してくるかもわからない子どもや、車の横を並走している自転車など、重大事故につながる最悪の状況に注意すべきだからです。
ところが、実際には「ネガティブな意識を持てば持つほど事故を起こす確率が高い」という調査結果が出ているのです。その理由は、以下の通りです。
ネガティブ思考の運転者はポジティブ思考の運転者に比べて視野が狭くなり、結果通行人や自転車に乗っている人の存在を、自分が運転する自動車が至近距離になるまで気づかず、重大事故を起こしてしまうのです。
つまり、運転に限らず、思索においてもポジティブ思考が視野を広くして斬新なアイデアを獲得する上で、とても有利なのです。
私たちは、相反する二つの感情を、同時に抱くことはできません。つまり、喜びや興奮といったポジティブな感情と、怒りや抑うつといったネガティブな感情を、同時に味わうことはできないのです。
物事にはポジティブな面だけでなく、必ずネガティブな面が存在します。物事を図表9-1のように両方の視点で把握することにより、ポジティブな面に浮かれることもなく、あるいはネガティブな面に過剰反応して不安や恐怖を覚えることもないのです。
図表9-2のように両方の視点を交え、テーマに沿ったポジティブ要素と、ネガティブ要素を紙に書き出してみましょう。
不安を克服するには、その不安と相反するポジティブな感情をぶつけてやれば、不安は案外消えてしまうのです。これを心理学では「打ち消し効果」と呼んでいます。
ノースカロライナ大学の心理学者バーバラ・フレドリクソン博士は、この打ち消し効果を、実験により確認しています。フレドリクソン博士は、まず95名の大学生に、「これから3分間のスピーチをしてもらいます。1分間で準備をしてください」と告げました。実は、これは、不安や緊張を高めるための操作でした。
次に、フレドリクソン博士は、心地よさを引き出すビデオを観賞させました。浜辺に波が打ち寄せる映像や、仔犬が無邪気に走り回っているビデオを見せて、心地よさや楽しさを引き出したのです。
すると、スピーチをすることで高まっていた学生たちの不安や緊張が、ほんの20秒ほどのビデオ鑑賞によって見事に消滅したのです。
野球の面白さについて、大谷選手はこう語っています。
「全部できるようになったらおもしろいなという、その感じがいいんです。子どもの頃と一緒なんですよ」(『雑誌ナンバー 2020・03・26号』 文藝春秋)
つまり、不安や緊張を感じたら、子どもの頃を思い出し、楽しいことや愉快なことを考えるという原点に還ればいいのです。「打ち消し効果」は不安や緊張を解消する効果的な具体策であるというのは覚えておいてよい心理法則です。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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