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「ドル建て日経平均」は都市伝説?市場に溢れるフェイクニュースとの付き合い方

2023.11.12

3.実は気にしてはいけない?「ドル建て日経平均」

その影響力について怪しさ満点の「ドル建て日経平均」だが、「占い」や「都市伝説」の類と考えれば目くじらを立てるのも野暮かもしれない。しかし、「ドル建て日経平均の下落で海外投資家が見切り売り」といったようなストーリーを本気で信じてしまう人が現れるようだと、フェイクニュースの類として警鐘を発する必要があるかもしれない。

日本では、自動車産業を筆頭に円安が業績にプラスとなる業種が少なくない。このため、「円安は株高」に、「円高は株安」につながりやすい傾向が見られる。このように、円相場が株価と逆方向に動くことが多いため、ドル建ての日経平均は円建ての日経平均よりも変動率が小さくなる傾向がある。

1999年12月以降、約23年間の日経平均の12カ月騰落率を見ると、円建ての平均が約4.84%、米ドル建てが約1.66%となっている。一方、騰落率の標準偏差(平均からのばらつき)は円建てが約22.33%、ドル建てが約10.35%となっている。このため、ドル建て日経平均は相対的に「低リスク・低リターン」な投資対象と言えそうだ(図表3)。

■ドル建て日経平均が誘発する「往復ビンタ」

こうしたドル建て日経平均の特徴、平均値に収れんする騰落率の分布から連想されるのは、調整した時にあわてて売却に動くとその後の戻り局面で買いそびれ、「往復ビンタ」を食らってしまう危険性だ。リーマンショックのように主要な株価指数がそろって暴落を続けるような異常事態は別として、ドル建て日経平均が大きく調整してからの売りは、「痛い取引」となる可能性が否定できない。

そこで、1999年末から直近までの約23年間において、ドル建て日経平均の月次リターンが最も悪かった10カ月抜き出し、その翌月だけ日経平均を保有しなかった場合の累積騰落率を試算してみた(図表4、パフォーマンスが最も悪かった10カ月を抜き出す際は2008年~2009年のリーマンショック時を除く)。

1999年末から2023年10月末までの日経平均の累積騰落率(配当を除く)は約+63.0%だが、大幅調整の翌月に日経平均を保有しなかった場合の累積騰落率は、ほぼ半分の約+31.7%まで低下してしまう。米ドル建て日経平均のパフォーマンスが悪かった月の翌月は、自律反発も含めて日経平均が大きく反転することが少なくないようだ。

こうした傾向は、最近の市場動向でも確認することができる。今年の春以降、ドル建て日経平均は、8月、9月、10月に株安と円安が同時に進行したタイミングで、投資家を「ぎょっ」とさせるような調整局面(図表5、緑色の円で囲った時期)があった。

しかし、世界の投資家が注目するTOPIXにとっては「絶好の押し目」となり、買いの好機となっていたように思われる。こうしてみると、リーマンショックのような金融市場の大混乱でも起きない限り、ドル建て日経平均の下落に過剰反応するのは得策ではなさそうだ。

まとめに

「ドル建て日経平均」にまつわる話は、信じるか信じないかはあなた次第の「都市伝説」と割り切ってしまえば、あまり神経質になる必要はないかもしれない。ただし、そのもっともらしさゆえ本気で信じてしまう人が多く現れるようだと、悠長なこともいっていられないだろう。

エビデンスに乏しい擬似科学で病気が治ると信じてしまうことが危険であるように、占いや干支、都市伝説などを頼みに投資を行うのは極めて危険な行為かもしれない。

中でも、昨今のように市場の変動性が高まっている局面では、こうした「フェイクニュース」を真に受けて投資判断を変えてしまうと、思わぬ痛手を被りかねないため注意が必要だろう。

出典元:三井住友DSアセットマネジメント

構成/こじへい

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