日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手が教えてくれる仕事で成果を上げる秘訣】回復こそ夢をかなえる大きなエネルギー源
回復こそ、夢をかなえる大きなエネルギー源です。あなたにいくら素晴らしい才能があっても、1日を完全燃焼させるだけのエネルギーを補給することなく、良質の仕事をすることは到底不可能です。
「1日単位で完全燃焼」こそ、最高のパフォーマンスを発揮するために不可欠な要素です。大谷選手のオフタイムのこだわりは半端ではありません。特に食事に関して、大谷選手の考えは、とてもストイックです。彼の食事のメニューは、すべてフィールドで最高のパフォーマンスを発揮することを最優先しているのです。
食事のバリエーションについて、大谷選手はこう語っています。
「いや、(バリエーションは)増えていません。同じものを食べています。お米の量と野菜の量も一緒です。摂るたんばく質の種類を変えたり、運動量によって量を変えてますけど、メニューは変えません。そのほうがいろんなことの理由とか、この運動量ではこれだけ食べたら次の日はどうなるとか、変えないほうがわかりやすいでしょう。いつも言うように、僕、味は二の次ですから(笑) 」(『雑誌ナンバー 2022・04・14号』文藝春秋)
大谷選手の自炊でのメニューはいたってシンプルです。バリエーションを最小限に抑えて、「お米を炊いて、肉や魚を焼いて、ブロッコリーを茹でる」といったシンプルなメニューを日々食べ続けます。
図表15は、「ストレス」と「回復」の諸要素をまとめたものです。「ストレス」とは、エネルギーの消費であり、「回復」はエネルギーの補給を意味します。多くの人々が「ストレス」をマイナス要素と考えますが、そうではありません。バイタリティに満ち、充実した生活を送るためには、「ストレス」を避けることはほぼ不可能です。図表15のように「ストレス」と「回復」のバランスを取ることが大切なのです。
日本のビジネスパーソンは、まだまだオフタイムの充実が不足しています。もしも仕事の悩みを抱えているなら、それはオンタイムの中にあるのではなく、大抵オフタイムが充実していないことが原因なのです。
そのことについて私の師であるジム・レーヤー博士は、こう語っています。
「カロウシ(過労死)とは、過労による死を意味する日本語である。(中略)長時間労働、ノルマ達成への大きなプレッシャー、睡眠不足、酒の飲み過ぎ、タバコの吸い過ぎ、家族と過ごす時間の極端な少なさ、厳しい家計、ラッシュと渋滞ばかりの通勤事情、運動不足、全くない回復時間。これが日本の多くのビジネスマンが置かれている状況である」(『メンタル・タフネス――タフネスで強くなる』阪急コミュニケーションズ)
もっとオフタイムの充実について真剣に考えましょう。リカバリーこそがあなたの仕事に成果をもたらし、夢の実現へと導いてくれるのです。
人生は「今」しかない。そういう思いでビジネスタイムを完全燃焼させましょう。朝出社するとき、心のタンクを満タンにして、昼間にそのエネルギーを完全消費してガス欠状態で家に戻る。帰ってからは、心をリラックスさせて、ふかふかのベッドでぐっすり眠りについてください。
大谷選手は球場に到着してユニフォームを着た瞬間、「仕事モード」になります。そしてゲームが終わってロッカールームでユニフォームから普段着に着替えた瞬間、「リラックスモード」に変身するのです。2021年シーズン終盤に、「今幸せに感じることは何か?」という記者の質問に答えて、大谷選手はこう語っています。
「最近はオフシーズンになったら何をしようかなって、そればっかり考えています。何にも決まってないし、何も浮かんでこないんですけど(笑)、何をしようかなって考えているときは幸せですね」(『雑誌ナンバー 2021・09・24号』文藝春秋)
人生においては、オンタイムが主役ではなく、オフタイムこそ主役であるべきです。日本人は欧米に比べてまだまだオフタイムの充実が不足しています。確かに生活のリズムがかなり欧米化しているのは事実ですが、まだまだ日本の職場では、「遊びは罪悪」という固定観念がまかり通っています。
これからの時代は、きっちりと「オン」と「オフ」のメリハリをつけて、「よく遊び、よく仕事をする」ことが求められます。オフタイムの充実が、あなたの仕事の成果を上げるカギになるのです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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