ジャガー・ランドローバー(JLR)は、2030年までに9車種の新しい電気自動車(EV)を投入するという「REIMAGINE」戦略を打ち立てており、その一環として、スロバキア共和国ニトラ市にある最先端の工場でEVを生産することを発表した。
このスロバキアのニトラ工場は2018年10月に操業し今年で5周年を迎えました。これまでに36万5,000台以上の「DEFENDER」と「DISCOVERY」を生産してきている。
JLRは、13億ユーロを投資してニトラの工場を立ち上げた。そして高度にデジタル化・自動化された工場として、従来のシステムよりも輸送時間を30%短縮したKUKA社のパルス・キャリアシステムを欧州で初めて採用した。それ以来、JLRは、新しいテクノロジー、土地、建物、ソフトウェアにさらに6,000万ユーロを投資している。
ニトラ工場のみで生産している新型「DEFENDER」は、大きな成功を収めている。直近の2年間で、「DEFENDER」はJLRのベストセラー・モデルとなっており、2015年モデルの「CLASSIC DEFENDER」と比較して10倍の売上高を達成している。
JLRは、将来的に車両を電動化し、2039年までに排出ガス量実質ゼロを達成するために、5年間で150億ポンドの投資を計画している。これには、ラグジュアリー・ブランドである「RANGE ROVER」、「DEFENDER」、「DISCOVERY」、「JAGUAR」の電動化に加え、2030年までに9車種の新しいEVを発売することも含まれる。
JLRは、電動化に備えて産業構造を急速に変革しており、ニトラの電動化は、このジグソーパズルの最後のピースとなる。
ヘイルウッドは、JLR初のEV専用工場となり、ソリハルは「RANGE ROVER」、「RANGE ROVER SPORT」、「JAGUAR」のEVモデルを生産、ウルヴァーハンプトンのエンジン・マニュファクチャリング・センターはエレクトリック・ドライブユニット(EDU)を製造し、そして、キャッスルブロムウィッチはEV用ボディパネルの製造工場に改装する。さらに、JLRはEDUを社内で開発するため、英国コベントリーのホイットリーに2億5,000万ポンドを投資して新しい「Future Energy Lab」を開設した。
ニトラで生産するEVモデルの詳細は、後日発表予定となっている。
JLR インダストリアル・オペレーションズ担当エグゼクティブ・ディレクター バーバラ・バーグマイヤー氏のコメント
「ニトラにある素晴らしい最新鋭の工場で、当社の電動化戦略の一環として、2020年代末までにEVを生産開始することを発表でき嬉しく思います。今回の決定は、この工場で働く献身的な5,000人の熟練した従業員に対する信頼の証であり、現在、好調な業績を達成しているJLRにとって、ニトラが重要な役割を果たしていることを示すものです。また、サプライヤー各社が私たちに続いてニトラに拠点を設け、増産をサポートしてくれたことにも感謝したいと思います」
JLR ニトラ・オペレーションズ担当ディレクター ギレルモ・マンチョラス氏のコメント
「本日は、私たちの工場にとって重要な節目の日であり、5年前にラインが稼動して以来、工場は順調に生産能力を強化してきました。『DEFENDER 130』のラインアップ追加や、稼働体制も2シフト制から3シフト制への移行によって生産台数を週2,000台から3,000台に増やすなど着実に変化してきました。私たちがEVの生産を開始するということは、『REIMAGINE』戦略におけるニトラの重要な役割を裏付けるものです」
関連情報:https://www.jaguarlandrover.com/
構成/土屋嘉久