こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
裁判例をザックリ解説します。
「妻が女性と不倫関係に陥った!」として、夫が相手女性に慰謝料請求した事件です。
同性同士でも不貞行為になります。
以下、分かりやすくお届けします(東京地裁 R3.2.16)。
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 夫
・35歳くらい
▼ 妻
・32歳くらい
・仕事:損害保険会社のコールセンター
▼ 不倫相手(女性)
・麗子(仮名)
・34歳くらい
どんな事件か
結婚して2年半たった頃。妻と麗子は、インターネットの掲示板で知り合います。その掲示板の【同性愛者のパートナーを募集】しているカテゴリーで出会いました。
その後、外食をしたり、映画を見たりする仲になりました。3回ほど食事デートなどを重ね、ある日、個室居酒屋で食事をしている時にお互いの首筋にキス。そしてついに……。
▼ 性的行為
■ 池袋のネットカフェ
麗子が妻の胸や下半身を舐めたり、陰部を直接さわったりした。
■ ラブホテル
性的行為(判決文には具体的に示されず)。
■ おそらくシティホテル
誕生日のイベントのあと、部屋に戻り性的行為(判決文には具体的に示されず)。
▼ 妻が麗子にプロポーズ
妻は麗子に対し、「異性の婚約者との結婚をやめて、一緒になってほしい」とプロポーズしました。しかし、麗子は断りました。すると、妻は麗子に以下の文章をメール送信 → 「わたしが麗子ちゃんを好きな理由を書いてPCメールに送ったから後でお読みください」。
▼ 関係解消へ向けて話が進む
麗子は「彼女と距離を置こう」と考えるようになりました。そして麗子はLINEで「この前のことも含めて、ちょっとしばらく会うのはやめようと思っている」と送りました。すると妻は「実は私もあれから色々と考えて、お友達に戻ろうかなと思ってて」と返信。
▼ ふたたび麗子が!
友達に戻れたと安心した麗子は、再び出会い系サイトで同性のパートナーを探し始めました。そして同性パートナーを見つけ交際をスタート。
▼ 妻が怒る
ある日、麗子は妻にLINEで「実は恋人ができたので、嫌な思いをさせたくないから会うのはやめようと思います」と送信。
すると、妻が麗子に「また不倫ですか?やはり私のことは遊びだったんですね」と返信(男女バージョンでゼッタイに遭遇したくないLINEシチュエーションです……)。
▼ 妻が夫に打ち明ける
妻は麗子にカナリむかついていたのでしょう。麗子との関係や出来事を、夫に打ち明けました。
▼ 夫がブチギレる
それを聞いた夫がブチギレ。麗子にメールを送ります。判決文からは何語か分からないんですが和訳すると「私から逃れることはできない」というメールアドレスを使って送信したようです。ホラーです。
そのメールには、以下のように、麗子を非難する内容が記載されていました。
・同性愛に偏見は持っていない
・妻とあなたが仲良く付き合うのであれば特に問題なしと考えていた
・あなたが妻と肉体関係を持ったので家庭はメチャクチャになった
・あなたは妻と向き合わず、すぐに次の同性パートナーを作りましたよね
▼ 妻は麗子への未練を断ち切れず……
妻は麗子に以下のメールを送ります → 「あなたの彼女にも私の夫にも秘密でお会いしたいです」「一度デートしてほしいんです」。しかし、麗子は受け入れなかったのでしょう。妻はPTSDになってしまい、仕事も休職する事態となりました。
▼ 夫が提訴
夫が提訴して、麗子に対して損害賠償請求しました。