寺田剛治
趣味系を担当しつつも、特集次第で何でもござれ! とページ作りに奔走するおっさん編集。手に取る本も同じく、何でもござれ! ビビビときたら、迷わず購入する派です。
同人誌発のBL小説を一般書化。三浦しをんによる解説も読みごたえあり!!
箱の中
著/木原音瀬
講談社 924円
某書評誌が「BL会の芥川賞作」と謳っていたので、気になり購入。美男同士の恋愛やくんずほつれる的なものを想像してはいけない。心の機微を丁寧に描き、真っすぐな純愛小説に仕上げているのだ。BLというジャンルでくくるにはあまりに文学的。私は泣いた。
世の中のアホに鉄拳制裁、巷に蔓延するカン違いを叱りまくる
B型陳情団
著/奥田英朗
講談社 1068円
数々の文学賞に輝く著者が、小説家としてデビューする前に出版された黒歴史的(?)な雑文集。若かりし頃の筆者が四面楚歌をものともせず、屁理屈をこねくり回し、アホをアホと言い切るのだ。コンプライアンスなんて言葉がない時代の作品なので痛快です(笑)。
伊豆山中に居を構えた〝アラ還〟漫画家のゆるすぎる暮らしにニヤリ
日々我人間(ヒビワレニンゲン)
作/桜 玉吉
文藝春秋 990円(全3巻)
『週刊文春』連載の散文的マンガ。伊豆の山奥に暮らす筆者の日常を描いているのだが、かなりの頻度でムカデが登場。次第に筆者が目視、カサッという音、しまいには気配だけで発見できるようになるなど、ムカデ限定でニュータイプ化していくのがオモロい。
ちり積もっていく小さなストレスで、主人公が〝キレる〟までの過程がリアルでヒリヒリする
ブラックボックス
著/砂川文次
講談社 1705円
前半は自転車便で生計を立てる主人公の日常、後半は刑務所という2部構成。急に場面が変わるので「なんで!?」と驚く。彼が起こしたのは暴力事件。自分も若い頃キレがちだったな、抑えるの大変だったな、大事に至らなくてよかったな……と感情移入してしまった。
無機質な裁判官のイメージが変わる!生々しい彼らの肉声を集めた語録集
裁判官の爆笑お言葉集
著/長嶺超輝
幻冬舎 792円
淡々と判決文を読み上げるイメージがある裁判官だが、本書には個性あふれる肉声を収録。一番刺さったのがコレ。「暴走族は、暴力団の少年部だ。犬のうんこですら肥料になるのに、君たちは何の役にも立たない産業廃棄物以下じゃないか」。ワードセンス半端ない!
文/編集部