日本人選手初のホームラン王獲得、WBC優勝、MVP受賞など先入観を覆し、不可能を可能にする大谷翔平選手の活躍はいつも我々に勇気を希望を与えてくれます。
私たちは、大谷選手が突然凄い才能を獲得したような錯覚を持ちます。しかし、事実はそうではありません。大谷選手はプロセスを徹底的に追求することの大切さを誰よりも理解しています。
「大きな夢は小さな目標の総量である」、つまり「結果」ではなく「プロセス」に意識を置いているのです。「小さな目標の実現」に果敢に取り組む。その小さな習慣こそが偉大な成果を上げる必須の要素ということだと思います。
昨日より今日、今日より明日。自分史上最高の自分にめぐり逢うための「ポジティブ思考」の神髄に迫る話題の書籍『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、自分を成長させる大谷選手の思考法を解説していきます。
【大谷翔平選手に学ぶ夢をかなえる目標設定理論】テーマを絞り込むだけ絞り込んで深掘りしよう
なぜ大谷選手が超一流のメジャーリーガーになり得たか? それは執拗なまでに「メジャーリーガーになりたい!」というミッションを強く意識して、自分の人生のほとんどの時間をかけて追い求めたからです。彼から野球を取り除いたら、私たちと同じどこにでもいる普通の人間です。
この世の中には、強力な成功法則が存在します。それは、あなたが評価されるのは、あなたが一番得意としているスキルだけ、という事実です。言い換えれば、あなたの二番目の得意技はまったく評価されないのです。
最大の得意技を洗練させることに、自分にとっての最大の資本である人生の時間をどれだけ注げるか、それこそが成功を手に入れる生命線なのです。このことについて、大谷選手はこう語っています。
「いいバッティングをしたい。いいピッチングをしたい。それをいつも望んできました」(『大谷翔平 二刀流の奇跡』辰巳出版)
あなたにとって世の中に誇れる最大のスキルは何でしょう。もしもそれがなかったら、最大のスキルにしたいものは何でしょう。それをスマホのメモ機能かスケジュール帳に1行で記入しましょう。
この世の中で自分の存在を認められたかったら、得意なことにあなたの全エネルギーを集中させてください。これほど単純で強力な成功法則はないのです。炎天下に新聞紙を置いても燃えることはありません。しかし、凸レンズで太陽光線を集めると、新聞紙は簡単に燃え始めるのです。大谷選手の最大の武器は二刀流です。そのことについて、大谷選手はこう語っています。
「両方やることは大変だとよく言われますけど、単純に練習を二倍やるわけではありません。トレーニングで言えば、投手と野手、両方に共通するようなメニューを一貫してやる。技術的な部分では、ピッチングもあればバッティングもあるので、その二つをやらないといけないですけど、単純に練習量が増えるというわけではないんです。みなさんが考えている以上に効率よく練習をしていました」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)
大谷選手は投手と打者、二つを追い求めているように見えて、実はその二つは関連して成熟していくものなのです。
大谷選手は「メジャー最高のバッターやピッチャーになる」という大まかなテーマを持って臨んでいるわけではありません。それはあくまでもご褒美であり、テーマではないのです。大谷選手のテーマはたくさんあるのです。
たとえば、それらは「メジャー最高のスイーパーを投げて打者を三振に討ち取るピッチャー」であり、「飛んできたボールをバットの芯で捉えてバックスクリーンに放り込むバッター」です。
大谷選手が「マンダラチャート」(目標達成シート)を使っていることは有名ですが、私も「夢実現ノート」(図表6)というものを作成して、多くの学生さんやビジネスパーソンに活用してもらっています。このノートの特徴は、あなたの過去の成功体験を意識しながら、実現したい夢に向かって具体的な行動を取るために作成されたものであるということ。
まず一番上にあなたが過去に体験した「素晴らしい瞬間」を記入しましょう。日々その瞬間を思い出す習慣を身につけることにより夢に向かって行動する意欲が湧いてくるのです。
次にあなたが実現したい夢をできるだけ具体的に記入しましょう。
そして、3番目にその夢を実現するための具体的な行動をリストアップしてください。この用紙を活用して、テーマを絞り込めるだけ絞り込んで、それを深掘りしましょう。これこそ、この競争社会で勝者になる必須の要素なのです。
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いかがでしょうか?
大谷選手を超一流のアスリートへ飛躍させた思考法にはビジネスパーソンも学ぶことも多いと思います。ぜひ日々の小さな目標の実現を目指して一歩一歩、「できない」を「できる」に変える努力をしてもらえればと思います。
さらに詳しい解説は児玉光雄さんの著書、『「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法』をチェックしてみてください。
「できない」を「できる」に変える大谷翔平の思考法
著/児玉光雄/アスコム
児玉光雄
1947年兵庫県生まれ。追手門学院大学スポーツ研究センター特別顧問、元鹿屋体育大学教授。京都大学工学部卒。大学時代はテニスプレーヤーとして活躍し、全日本選手権にも出場。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)大学院で工学修士号を取得。米国五輪委員会スポーツ科学部門本部の客員研究員として、米国五輪選手のデータ分析に従事。過去30年以上にわたり、臨床スポーツ心理学者として、ゴルフ、テニスを中心に数多くのアスリートのメンタルカウンセラーを務める。また、右脳活性プログラムのカリスマ・トレーナーとして、これまで数多くの受験雑誌や大手学習術に右脳活性トレーニングを提供。この分野の関連書は100冊以上、累計発行部数は150万部を越える。主な著書はベストセラーになった『この一言が人生を変えるイチロー思考』(知的生きかた文庫)をはじめ、『大谷翔平 勇気をくれるメッセージ80』(三笠書房)、『能力開発の専門家が作ったそうぞう力とさんすう力がみるみる育つこども脳トレドリル』『頭がよくなる!「両利き」のすすめ』(いずれもアスコム)など200冊以上。日本スポーツ心理学会会員、日本ゴルフ学会会員。
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